家族会議と再婚3
「お母さんね。松坂さんと色々と話し合ってみたんだけど、優とりこが大人になる四年後に結婚することにしたの。二人的にはどうかな...?」
ゴキブリ人間兼戸塚菌な俺が大人になれるかは別として、つまりは俺たちが高校を卒業するまで待ってくれると言うことだろう。
「......お母さんは本当にそれで良いの?」
りこは不安げな表情を浮かべ、恐る恐ると言った感じで母さんに問いかけた。
当たり前ではあるが、やはりりこも今まで女手一つで育ててくれた母さんの時間を奪うことに対して罪悪感があるのだろう。
当然だが、俺もである。
「ええ...。私は女である以前にあなた達の母親だもの......優、もう一ついい?」
「何...?」
「改めてこの前は本当にごめんなさい。いくら、私にも恋愛をする権利はあるとはいえ子供にあんなこと言うべきじゃなかったよね」
これが間違っていると言うことは当事者である俺が一番分かっている。
小さな頃から病弱な父と俺たちを養う為に労働に家事、育児と人生を捧げてくれた母親。
戸塚家に降りかかる不幸を全て受け入れてくれていたのだ。
俺はそれに目を瞑り勝手に傷つくだけ......
思えば、いじめの件だってあの時の俺どうかは察してほしいと切に願うだけで、羞恥心からか地獄のような現状や思いはあまり伝えられていなかった。
それなのにも関わらず、勝手に壊れて母親を怨む。
そんなの筋違いである。
きっと、今母さんにワガママを受け入れてもらうには俺も謝らなければいけないのだろう。
「俺も母さんの自由を奪ってしまって本当にごめんなさい」
「わ、私も本当にごめんなさい」
りこも俺に続くように深々と頭を下げて見せた。
......やはり、こいつは大人である。
一年前の俺なんて今以上に周りが見えずに、自分と周りを傷つけていただけだったのだ。
流石は血縁が怪しいくらいには優秀な我が妹である。
「二人は謝らなくていいのに......でも、ありがとうね。嬉しいわ」
母さんはどこかくすぐったそうな笑みを浮かべ、慈しむように俺たちを見つめてきた。
本当の意味で、こうして面と向かって家族と話し合ったのなんて何年ぶりだろうか。
......記憶にないくらいなので、相当前のことなのだろう。
俺は悔いがないように最後に一番気になっていることを聞くことにした。
「.....母さんはまだ父さんのこと好き?」
いくら結婚までの期間が延び、家族で面と向かって話せたとしてもこれを聞かなければ、俺は本当の意味で前へ進めない気がした。
「......ごめんなさい」
夕方の寂し気でどこか空虚な雰囲気が漂う教室にて、母さんのどこか申し訳なさそうな声だけが突き抜けるように響き渡ったのだった。
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~次回 千歌先輩の家で......!?かなり物語の展開が動く予定です!
作者から
......はい。
投稿が止まってしまってすみませんでした。。。
なんと、はなびえいつものサボり癖かと思いきやインフルエンザでダウンしておりました!
今はもう元気はつらつなので、また毎日投稿を再開したいと思います~
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