家族会議と再婚2
「ごめん、俺は嫌かな」
俺は母さんの黒曜石のように美しい瞳を一直線に見つめ呟いた。
俺の一言に余程動揺したのか、母さんとりこが目を大きく見開く。
「......そうなのね」
これがただの俺の我儘であることも分かっている。
いくら、こうして喚こうが父さんが蘇らないのだって承知の上だ。
......それでも、それでも。
ここでただ自分の気持ちを押し殺すのは、絶対に違う気がした。
それだけは間違いであると確信している。
例えこれが叶わぬとしても、俺は自分の過去と向き合う為、そして今後の人生の為に思いを吐き出さなければいけないのだ。
「ごめん。誠意を見せようと思ったけど、あんまり伝わってないよね、でも可哀そうな息子としてじゃなくて一人の人間として聞いてくれると嬉しい」
ふと、りこの方を見るとどこか驚いたような、でも少し嬉しさが滲んでいる笑みを浮かべこちらを見つめてきていた。
「...わかったわ」
「俺は母さんがどうしても結婚したいならそれは止められないと思ってる。母さんの意思を無下に出来る権利なんてないと思ってるから」
「...」
「でも、一息子としては父さんとの思い出や存在が薄れていくのが怖いと言うか........母さん前に松坂さんを含めた家族みんなで幸せになりましょうって言ってくれたじゃん」
「...ええ」
自分が間違っていることは知っている。
あまりのクソさに今にでも吐きそうだ。
......でも。
そんなのゴキブリ人間戸塚菌に取ってはいつもの事である。
......だから、、、
「......俺に取っての父親は父さんで十分なんだよ。こんな歳にもなって、理解されることも望んでないし、したくもない。だからさ...」
千歌先輩からこの件について問題提起してもらったあの日から頭がパンクする程には考え続けてきた。
......無論、まだ答えは出ていない。
こんなの母さんとりこに聞かせるべきではないのは重々承知だ。
でも、きっとこれが馬鹿でどんくさいゴキブリ人間兼戸塚菌に取っての答えなのだろう。
「でも、こんなこと言っても母さんたちは納得できないだろうし、現状が何も変わらない事は分かってる。だからさ......俺だけにでも父親面してくれなかったら、別にもうどうでもいいよ」
結局の所、俺は父親ずらされるのが嫌なのだ。
俺さえ、それに関わらなければ父さんは俺の思い出の中で生き続けられる。
「......優の考えはわかったわ。お母さんからもいい?」
「うん」
「お母さんとしては......」
戸塚家の家族会議はまだまだ続くのだった。
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