約束と回転

「あつぅ””!でもおいひ~!」

 あれから、俺と千歌先輩は取り合えず社長との件が解決したということで昨日行けなかった回転寿司屋に来ていた。

 お寿司屋独特の食欲をそそる香りに、近未来的なタッチパネル。

 思わず目が回ってしまいそうな速度で回転している新鮮なお寿司たち。

 ......やはり、お寿司屋さんはいくつになっても興奮する。。。

 ちなみに店内はと言うと、木曜日なのにも関わらず学生から家族連れまで様々な客で溢れかえっていた。

「一発目で茶碗蒸し食うなんて珍しいですね」

「だって美味しいじゃん?...それにカルビ寿司食べてる君に言われたくないです~」

「ほら、カルビってお寿司界の新生児で老若男女問わず大人気な稼ぎ頭じゃないですか?なんか、劣等感で自分で食べてでもこの世から消してやりたかったんですよね~!HAHAHAHA」

「まさかの憎悪からの歪んだ食欲だったんだ!?......お姉さんドン引きだよ」

 何故か千歌先輩にはドン引かれてしまったが、兎にも角にも円満?に解決できたので本当に良かった。

 .......まあ、ゴキブリ人間みたいな無能でうざいヤツに脅された吉田社長は当然イラついているはずだから、夜道を歩いていたらグサりなんて可能性もあるだがHAHAHA

「でも、無事に終わってよかったよ~お姉さん、心配過ぎて一回口出ししそうになっちゃったんだよ」

「ご心配をおかけしました。まあ、でも俺の人生心配事だらけなので、全然大丈夫ですよ!」

「フォローの仕方おかしくない!?」

 今のは半分冗談だが、これで文化祭が終わったわけじゃない。

 まだまだ人手不足など問題は山済みである。

「...そういえば、少し話変わるけど月曜日バイトも委員会もオフじゃん?」

「ですね」

「......私の友達の亜里沙ちゃんから里香入れて四人で作業しよう?って誘われてるんだけど、どうする?」

 千歌先輩はどこか取り繕ったような、不安そうな表情を浮かべ呟いた。

 おそらく、今もなお気まずい関係である俺と里香に気を遣ってくれたのだろう。

 正直、今は顔を合わせたら多少は喋るが、それ以上でそれ以下でもなく友達と言うよりは『顔見知り』である。

「全然大丈夫ですよ。大人数の方が効率的ですし、それで行きましょう」

 かくして、色々と不安はあるものの俺は首を縦に振ったのだった。


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