会社と突然の修羅場
翌日の放課後、俺と千歌先輩は母さんの会社に来ていた。
都内の一等地に威風堂々とした雰囲気を放ちながら佇むオフィスビルの30階。
高所恐怖症のゴキブリ人間には辛い場所だが、文化祭の為耐えなければいけない。
「...ということで、これでどうでしょうか?戸塚さん」
「いいと思いまよ優くん。あとは社長のサインだけなので30分ほどお待ち頂ければ、文化祭に向けての書類作業はすべて終わりですね」
身内である母さんとの会話も今は仕事中ということもあり、敬語である。
ふと、周囲を見渡すと如何にも意識高そうな社員たちがパソコンをカタカタとさせていた。
......社会不適合者な為、将来まともな職へ在りつけないであろう俺に取ってこんな光景を見るのは人生最後になるこもしれないHAHAHAH
どうもドロップアウト確定系男子のゴキブリ人間兼戸塚菌です!
ちなみに中学時代はよく先生から『無職にだけはなるなよ』とよく心配されていた!HAHAH........
「戸塚さん、私的な話になるのですがいいですか?」
「はい。雑談程度でしたらどうぞ」
「文化祭の最終日に少しお時間頂けないでしょうか?ちこも入れて三人で今後のことについて話し合いたいんです」
「......わかりました」
もちろん、この日に自分の想いを吐き出すつもりである。
母さんもそれを察したのか何か覚悟したような表情を浮かべ頷いた。
「それでは、最後に社長にこれでいいか確認してきます」
「はい」
母さんは書類をファイルにまとめ、エレベーターがあるフロアへと行ってしまった。
「......君、めちゃくちゃ成長したよね。つい数か月前までこんなの考えられなかったよ!」
千歌先輩がまるで我が子の成長を喜ぶ母のような表情を浮かべ、こちらを見つめてくる。
何だか、一つ上の女子にこういう目線で見られるのは複雑な気持ちだが、人から哀れまれるのも、施しを受けるのも大好きなのでウェルカムである。
........承認欲求が満たされりゅうううぅぅぅぅ!
「はい!権力者に忖度する方法とか~適切な人への媚び方とか色々と覚えました!」
「捻くれ者なのは変わらないんだ!?」
「けっ、前も言ったけど俺からそれを取ったら無個性なただの粗大ごみになるだろ」
「ならないよ!?......君は自己肯定感低すぎるからお姉さん、心配だよ!」
個人的に自己肯定感なんて負け星が多いゴキブリ人間の場合、低い方が良いと思っている。
何故ならば、自己肯定感が低いということはよく言えば弱い自分を認められていると言えるからだ。
......どうせ、この文化祭でも俺は何かやらかすだろう。
ならば、自己肯定感が低い方が自己批判せずに済むので得である。
勘違いしないでほしいの俺はゴキブリ人間兼戸塚菌な自分が、世界で一番好きである。
だからこそ、一番自己保身が出来るであろう道をこうして正当化しているのだHAHAHA
「捻くれものな君の戯言は置いておいて......向上心旺盛な君に今日の晩御飯はお姉さんが回転寿司屋を奢ってあげよう!」
「ありがとうございます!...あなご食べるの楽しみです!」
「なんであなご!?...マグロ、サーモンを差し置いてあなご食べるって珍しいね...お姉さんびっくりだよ...!」
「いえ、味は正直嫌いです!」
あのヌメヌメ、ゴワゴワな触感だけはどうしても無理なのだ。
「あなごって俺と同じく嫌われ者じゃないですか?だから、俺だけは彼の理解者でいてあげたいなと思いまして!HAHAHA」
「まさかそんな心優しい理由だったんだ!?」
なんて間接的にあなごをディスってると右ポケットがブルブルと震え出した。
おそらく誰かから電話でもきたのだろう。
......それにしてもゴキブリ人間兼戸塚菌に電話をするなんておかしなヤツもいたものである。
『もしもし』
電話相手はどうやら母さんからのようだった。
でも、さっきのクールで重圧感のある声とは打って変わって、どこか震えているような怯えているようなそんな弱弱しい声になってる。
「どうしたんですか?まさか、トラブルとか?」
『社長曰く、会社としてはこの件から完全に撤退する方針になったそうです』
またしても俺の前に大きな壁が立ちはだかったのだった。
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