校内に蔓延る噂と過去

 午前8時30分。

 夏川 千歌はいつも通り古びた教室のドアを開けた。

 下のレールの部分が錆びているのか少し開けずらい。

「千歌おっはよ~」

 いつも通りクラス内でよく喋る友達中沢 亜里沙が人のよさそうな笑みを浮かべながら話しかけてくる。

「ん、おはよ~」

 私はそう答えつつ、バッグの中の荷物を机に詰めた。

 ......最近、授業の内容が難しくなってきたからか、以前よりバッグが重くなってる気がする。

「......やっぱり、最近より一層肌綺麗になったし彼氏できたでしょ~?」

 なんて亜里沙ちゃんは一度私を一瞥し、茶化すような口調で問いかけてきた。

「......い、いないし!」

 中学くらいから何度か告白されてきたが、外面だけで中身を見てくれる人はいなかったので彼氏なんて出来たこともいたこともない。

「本当かなあ~なんかメイクの仕方もちょっと変わってるし、あっやしいなあ~」

「......お、お洒落に目覚めただけだもん!」

 そもそも友達と呼べるほど、仲が良い人すら亜里沙ちゃんと優くんくらいしかいないのだ。

 ......確かに優くんとは手を握り合ったが。。。

 あれはそういうことなのだろうか.......?

........だとしたら嬉しいかもしれない...!

 実のことを言うとそのことが気になってあの日以来あまり眠れていない。

聞くのが一番であると頭ではわかっているが、怖くて今の所は現状維持しているだけである。

「はいはい。そういうことにしておきましょ~恋する乙女は強しですな~」

「亜里沙ちゃん!」

「ごめんごめん。からかいがいがあるからつい~」

 私はむくれつつ、一限に必要な教材を机に並べた。

 ちなみに科目は数学。

 文系な私に取っては頭が痛いが将来の為にも頑張らなければいけない。

「ねえ、一年の男の子の噂知ってる?」

「ああ~小学校時代に暴力沙汰起こして、それで今も元同級生の子いじめてるってヤツでしょー」

「そうそう!それ!それにしても酷いよね~」

 前回の授業の復習として教科書の読み込みをしていたら、隣の席の女子の噂話が耳に入ってくる。

 なぜ、こうも人は根も葉もない噂話が好きなのだろうか。

 なんて思いつつ、スルーしようとしたら聞き慣れた名前が上がってくる。

「マジで怖いんだけど~」

「だよねー一応自衛の為に聞いておきたいんだけど...名前ってなんだっけ?」

「...確か戸塚 優だった気がする~」

 ......勿論、信じてなどいない。

 こんなの悪意に満ちた真っ赤な嘘に決まっている。

 彼は最初こそ取っ掛かり難かったが、根はとてもやさしい子なのだ。

 この短期間で私を満たしてくれた友達を救いたい。

 私はその一心で何か重要なことを知っているであろう、里香の家に行くことに決めたのだった。


ここからかなり展開が動きます!


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