【悲報】学校の同級生と鉢合わせしてしまう
あれからCDショップで買い物を終えた俺たちは駅前のベンチで雑談していた。
長く入り浸り過ぎたせいか、燦々と煌めく太陽が姿を消し、空を見上げると月明かりが夜空を包み込んでいる。
.......俺の心は太陽が朽ちたら終わりだと言うのに地球は月と言う名の代替品があるのはズルいと思う今日この頃......
ちなみに普段ならもう20時なので帰る所だが、ゴキブリ人間兼細菌と言う俺に取って誰かと買い物をするというオーバーワークの負荷に身体が耐えきれなく、今は休ませてもらっている。
「...買えてよかったっ!見てみてこれ良くない?」
「相変わらず、アルバムの表紙かっこいいですね」
先輩はお目当てのアルバムが買えたのが余程嬉しいのか頬にCDを擦りつけている。
「だよねっ!わかるぅ!」
こんなに無邪気な様子で喜ぶ先輩は初めて見たかもしれない。
「はい~」
「ちなみに君は何を買ったの?」
「俺はロックと演歌のCDを一個ずつ買いました!」
「演歌!?相変わらず癖強いね」
......癖が強い?
演歌を舐めるな!
演歌は和の象徴であり、日本人の心だぞ。
「でも、意外かも演歌とかも聴くんだね~」
「え?一度も聴いたことありませんよ?このアルバムのタイトルが『絶望、苦悩、繰り返し』ってやつでまさに俺の為に作られたんじゃね?って思っちゃってHAHAHAHA」
「流石に重いよ!?」
「おお、流石先輩ナイスツッコミです!」
「...君、最近私にツッコませるためにワザと言ってない?」
「何言ってんだこいつ。そんな高度なこと出来たら友達できてるわ」
「その辛辣なの何なの!?...まあ、いいや。ロックは何買ったの?」
俺は鞄からCDを出し、先輩に手渡した。
「あれ?このバンドってジャズとかやってるじゃないの?」
「いえ、初期はコアなロック調の曲を出してたんですよね~」
「へえ...気になるかも。もしよかったら聴き終わったら貸してくれないかな?」
人に奪われることは合っても貸すことはなかったので、何だか新鮮な気分である。
あっ?でも、『一生貸せ』って言われたことは合ったなHAHAHA
「いいですよ」
「......やった!」
おそらく60分くらいのアルバムなので、今日中に完走してしまえば明日には貸せるだろう。
その後、お互い戦利品確認ということで暫しの沈黙が訪れた。
......それから5分後くらいだろうか。
沈黙を破るように先輩が呟いた。
「.......でも、こういうの楽しいな。私、同じ趣味の友達とかいなかったから」
「なんですか急に?...も、もしかしてそもそも友達するいなかった俺への当てつけですか!?」
「はいはい。そんなこと言ったら私だって浅い友達しかいなかったし」
「先輩、ドンマイです!」
「ムカつく!なんか君に煽られるのが一番ムカつく!......まあ、いいや。これからよろしくね!クソ生意気な後輩くん」
「はい。よろしくお願いします」
「...ん。これからも友達でいてね」
「はい。ぜひ」
夜が更けてきて、温度が下がったからか先輩の頬が少し紅色に染まっている。
「もう、暗くなってきましたし帰りませんか?」
「...だね。お話は明日もできるしね~」
オーバーワークで疲労困憊な身体を無理やり動かし立ち上がる。
ゴキブリ系戸塚菌な為、今までは家に引きこもりがちだったのでこういうちょっとした外出でも筋肉痛がやばい。。。
俺たちが駅の改札へ向かおうとしたその刹那、何だか聞き馴染みのある女の声が聞こえてきた。
「お姉ちゃん~~~!......と優くん?」
かくして修羅場の幕が開いたのだった。
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