カラオケでロックな哲学
「久しぶりのカラオケだああ!!」
仄かに匂う煙草の香りに小さなテレビからい流れるくだらなCM。
俺と先輩はドリンクバーのコップを片手に、バイト先の休憩室と同じくらい窮屈なカラオケBOXに入った。
......何だろう。何なんだこの感じ。
例えるならば、ゲームセンターに入った瞬間に似ているこのワクワク感。
「さ、歌おっか!」
先輩は目を輝かせながらそう言うと慣れた手つきでタッチパネルを操作しだした。
.....こ、これがIT長者ってやつか。。。
スマホすらまともに扱えないゴキブリ人間な俺とは格が違うぜ...
「なら、一曲目いきま~す!」
てっきり俺は流行りのアイドルや歌手の曲が流れるとばかり思っていたが、流れたのは硬派なロック。
痺れるように熱いイントロ。
その熱を爆発させようと弾くように響くドラム。
「せ、先輩ロックとか好きなんですね!」
「うん!昔からロック大好きなんだよね~」
ちなみに今流れている曲はアニメのタイアップ曲であり、ロックファンそしてアニメファンの双方から愛されている不朽の名曲である。
「確かユ〇ゾンいいですよねー」
ロックは社会不適合者で遊び相手もいなければ、これと言った趣味もない俺に取って唯一夢中になれることである。
「わかる!マジで耳癒されるよね~....君も良い趣味してるじゃん」
イントロが終わり、先輩がマイクを構える。
声が比較的高い先輩の声質がこの曲に合うのかと思ったが、そんな心配は要らなかったようだ。
まるで天から響き渡って来たように美しい歌声がカラオケボックスに響く。
低音はしっとりとして美しく、高音は突き抜けるように響き渡る。
つまり何が言いたいかと言うと。。。
.......うめええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
それから美声に聞き入っていると、あっという間に終わってしまった。
「えへへ...どうかな?」
「めちゃくちゃ上手いですね!」
正直、カラオケの事をあまり良く思っていなかったが、なんでみんなが入り浸るか分かった気がする。
「え?まじ!?やった!」
.......やべえ。
まじでビビった。
心が浄化されましたね。ええ。
......あれ?もしかして戸塚菌も死滅してるんじゃね?
「女友達との時は歌えないし、嬉しいな」
「......どうしてですか?」
「やっぱ、引かれちゃうじゃん?そういうの怖いなって思っちゃってね」
........そんなのそんなの。。。
「先輩!ロックとはなんですか!」
「えっ?ロックはロックでしょ?」
「NOです!ロックは岩のように固く揺るがない意思のことです!」
俺だっていくら否定されようがゴキブリ兼細菌兼僧侶として日々、精進していっているのだ。
「いつにもなく熱いね!?......でも確かに」
「なので、先輩次もお願いします!」
俺はタッチパネルを先輩に差し出した。
「えっ?君は歌わなくていいの?」
「......先輩に歌ってほしいんです!」
「そ、そんなに私の歌を....」
「俺は学校で孤立して陰口叩かれても自分を貫くという形でロックを表現しているのでHAHAHA」
「そんな悲しいロックはやめてよ!?」
「なら、次はこれ歌おうかな~」
心なしか今までに見たことがないくらい機嫌が良さそうにタッチパネルを操作していいる先輩。
「...でも、ありがとね!今までこんなに真剣に歌、褒められたことなかったから本当に嬉しかったよ!...えへへ」
先輩は蕩けるように甘い笑みを浮かべはにかんだ。
俺と先輩はこの日、二時間ぶっ通しで歌い明かしたのだった。
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