作者様は素晴らしい文章力をお持ちです。
ストーリー展開、情景描写、感情描写、どれをとっても無理がない。
胸の中にスッと落ちて来るようです。
ただそれだけに、作品のテーマが浮き彫りになっていて怖いです。
何が怖いって、主人公の彼氏の「私が君の神だ」とでも言うような、浅ましいほどのコントロール欲求ですよ。彼が支配者としての力を誇示したいがために、一つの生命が(例えクローンと言えども)死の時までを決められてしまう。
そんなことがあって良いものでしょうか?
しかし古代の諺にもある通り、人間がどんなに執念に準備を重ねて力を振るったとしても……「出来上がりは神様次第」。
人間は自分以上のコントロールをすることは出来ないわけです。やはり。
爽やかとは言い難いけども、すっきりとした上手いオチに唸らされました。