第32話 祠を探せ

「マシュー君、祠ってこの村とか付近にある?」


 


 狩猟に一息ついた時、俺はマシュー君に訊ねた。




「なんですか。また急に祠だなんて。記憶戻ったんですか?それともまた僕に隠れて何か企んでるんじゃないでしょうね」


 


 マシュー君は猜疑心に満ちた顔で言った。




「企んではないよ。もうマシュー君に踊らされるのはまっぴらごめんだ。記憶がさ、少し戻ったんだよ。どうも祠に行けば俺もっと強くなれるかもしれないんだ」


 


 俺は海苔の精霊の言葉を思い出しながら言った。




「そうですか。うーん、祠ですか。すいません。僕にはちょっと思い当たる節がありませんね。バルガスさんに聞いてみたらどうです。バルガスさんはこの村に詳しいですから」






「祠か。祠なら山の滝付近にあるな。俺が子供の頃は祠の掃除とかしてたんだが、今じゃほったらかしだ。なんだ祠に用でもあんのか?」


 


 バルガスは言った。


 流石、バルガス。そのハゲ頭から後光が差しているよ。




「バルガスさん、ぜひ、その祠に案内して」


 


 俺は手を合わせながら言った。

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