第31話 昇級、昇給、etc
葬儀から10日ばかりたった頃。
俺は一人でハンターギルドに呼びだされた。
「あ、レンさん。待ってたわよ」
受付に座るマリアさんが俺を見て言った。
「俺なんかしましたか?一人で呼ばれる覚えないんですけど」
俺はマリアさんの巨乳を眺めないよう視線をなんとか調節しながら言った。
「何言ってるのよ、レンさん。あなた、立派に活躍したじゃない。おめでとう。Dランクに昇級よ。これであなたは見習いハンターから一般ハンターに昇格」
マリアさんは俺の手を握りながら言った。結構フランクな人だ。握り返す勇気は俺にはない。
「本当ですか?それ自体は嬉しいんですけど、でも俺あんま活躍した覚えないからちょっと昇級していいのかなって」
俺は正直な気持ちを言った。
「バルガスさんもカマラさんもレンさんのこと褒めてたわよ。見習いハンターが黒色ウルフやハイゴブリン相手にあんなことできないって。カマラさんなんて自分の不甲斐なさを嘆いてたし」
そうか、バルガスとカマラが。しかし俺は結局、黒色ウルフもハイゴブリンも倒すことはできなかった。マシュー君には失望されたし。
「マシューには口止めされてるけど、マシューも喜んでたわよ。レンさんの活躍」
「ええ、マシュー君が?」
俺は驚いてしまった。
「内緒よ、内緒。で、レンさん。Dランク昇級に伴ってお給料も上がりますからね。月々金貨5枚が追加されます」
マリアさんが楽しそうに言った。
「それは、ホント嬉しいすっね、ありがとうございます。俺、結構、金貯めるの好きなんですよー」
派遣で働いていた時は安い給料ながらもなんと500万も貯金していた俺は言った。
「て、ことで今日はレンさんの昇級を祝って飲みに行きましょう。レンさんの奢りで。私、強い男の人に惹かれるの。ね、いいでしょ。レンさんのお話沢山聞きたい」
マリアさんが上目遣いで言った。
可愛いじゃねえかマリア。酒くらい奢ってやる。
俺が大酒飲みのマリアの異名を知ることになるきっかけであった。
1日で金貨4枚は飲み過ぎだってばマリアさん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます