第30話 葬儀=人の死


 ハイゴブリン討伐の翌日、村の広場では大規模な葬儀が執り行われた。防衛団のウエインという若者が手当てのかいなく殉職したのだ。俺はマシュー君とともに葬儀に参列した。広場には800人以上の人々が集まっている。小さい村だ、村全体が家族のようなものなのだろう。絆は深い。


 広場の中央にウエインの亡骸が入った棺桶が置かれている。棺桶のまわりにはウエインの家族、防衛団長バルガス、副団長カマラが立ち、参列者達と言葉を交わしていた。




「皆、聞いてくれ。知ってると思うが、ウエインは気さくでひょうきんないい奴だった。腕っぷしはなかったが、防衛団の人気者で防衛団にはかかせない奴だった。今回、安全を考慮した作戦だったが、あいつは運がなかったんだ。カマラの話じゃ、カマラを庇うために黒色ウルフの野郎に喰い付かれたらしい。カマラに惚れてたのかもしれねえな。普段そんなことしねえから、いざやるとこのザマだ。俺も散々、ウエインには酒の席で説教してたんだ、もっと鍛えろってな。そうしてりゃ、こんなことにはならなかった。俺が奴をもっと鍛えてればなあ。まあ、つべこべ言っても始まらねえ、人間死ぬとその魂は天から地に行くって言うじゃねえか。あいつのことだ、また楽しく生まれてくるだろうよ。俺も沢山、ウエインには笑わせてもらった、本当に感謝している。ありがとうな、ウエイン」




 バルガスはボロボロと泣いていた。




 気付けば俺もマシュー君も泣いていた。

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