第3話 佃煮海苔のレン

 俺は棍棒を振り上げ襲いかかってくるゴブリンに向かって手を突き出し頭の中で佃煮海苔を放出するイメージを強く思い描いた。




「ベチョッ」




 佃煮海苔は確かに出た。




 小瓶1つ分くらい。ゴブリンのほっぺたにそれは付着した。




 しかし、佃煮海苔が付着したからなんだってんだ。片頬を黒くしたゴブリンは多少驚いたくらいで棍棒を俺に振り落としてきた。




「ガツン」




 俺は何とか間一髪、それを避けた。あんなのが当ったら骨折してしまう。

 

 もう、どうしよう。心が折れる、泣きたくなってきた。


 力では絶対勝てない、非力な俺には分かる。しかも武器はない。もう1度、佃煮海苔を使うしかない。俺は手をゴブリンに向けまたイメージした。




「ベチョッ」




 今度、それはゴブリンの口に入った。ゴブリンは驚いた顔をして動きを止めた。佃煮海苔が美味しかったのかもしれない。口の中でもぐもぐと咀嚼している。逃げよう、今のうちに。




「大丈夫ですか、今助けます」


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