第2話 ゴブリン

 頭の中に、さっき聞いた声が響いた。




「あんまし時間ないから手短に言う。あなたは私、そうね私のことは海苔の精霊とでも思ってて。私があなた成田蓮さんをこの世界に召喚したの。あなたの思いに応えて。ただチート能力は授けない。あなたには佃煮海苔を手から放出できる能力だけ与える。この世界にはモンスターが存在するけどその能力では戦闘はオススメできない。それを踏まえ、あなたはあなたなりに異世界ライフを楽しんで。私とまたお話したければ私が祀られてる祠を探してみて。じゃあね蓮さん」




 声はそこでぷつりと切れた。




 佃煮海苔を手から出す能力って。そんな能力でどうやって暮らしていけばいいんだ。俺はか弱く非力なんだ。モンスターでもでたら一体どう対処する。このままではいきなり殺される可能性もある。しかも俺を召喚したのは神とかじゃなくて海苔の精霊。なんとも切なくなる。泣きたくなる。




 どうしよう。


 どうしよう。


 どうしよう。




 そう思った瞬間、近くの茂みから緑色の子鬼みたいな奴が1匹でてきた。


 ああ、これはゴブリンだ。手には棍棒を持っている。俺を睨んだまま近づいてくる。このままじゃやられてしまう。しかし、武器はない、佃煮海苔だけで戦うしかないか。




 やるしかない。

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