俺の異世界転移〜与えられたのは佃煮海苔魔法だけでした

オト

第1話 異世界転移

 ここはとある佃煮海苔製造工場の一角。

 

 派遣社員である俺こと成田蓮29才はそこで海苔の充填作業に勤しんでいた。年季のいった機械を操作し用意された小瓶に次々と海苔を充填していく。




 プシュップシュップシュッ




 ただ小瓶をセットしてペダルを押すだけの単純な作業。ただそれだけ。

 時給1250円。

 それを延々1日8時間も繰り返す。その間、俺の頭の中はいつも空想で満ち溢れていた。大好きな異世界転生物語の。




「そんなに異世界に行きたいの? 」




 突然、頭の中に俺を少し小バカにしたような女性っぽい声が聞こえた。




 その瞬間、俺は意識を失った。




 気付くと俺は地面に倒れていた。起き上がり辺りを見渡すと今まで見たことない木々が生えている。空気がやたら美味い。




 なんだろう、この既視感は。まさか、頭の中で散々空想していた異世界転生か。

 いや、死んでないから異世界転移か。しかし、この状況はありえる。




「正解。ここは天地球グリームヒルト」

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