バリカサグ怒涛の魚壁~ボホール島編

残念なことに竹内君は食あたりでダウンしてしまったが、おそらく今日は素晴らしいダイビングになる予感はしていた。


概ね、リゾートダイビングにおいて初見のゲストは、初日のダイビングをチェックダイビングに費やされることが多い。


そのチェックダイビングにてダイバーのレベルを測るのだ。


故に、2日目以降にダイビングのメインディッシュが待ち受けていたりする。


そして、今日は、本気のバリカサグダイビングとなる。


船上にはまたまた香川さんが待ち受けていた。


なんでも他の船がいっぱいでここでしか受け入れが出来ないそうなのだ。



船はゆったりとバリカサグ島のポイントへ。


「マヤさん、この辺ってイルカはいないんですか? 」


海を見ながら萌恵ちゃんが質問する。


「oh、イルカデスネ。朝ハヤク海出ると出会う事ありマス。彼ら朝ごはんタイムに遭遇する多いデス」


(マヤさん、なんか昨日よりカタコトが強めな気が.. )


—1本目はバリカサグ『サンクチュアリ』に潜った。

何といっても青と黄色の最強の取り合わせ!イエローダッシュフュージュラーの群れが素晴らしかった。でも、この色の組み合わせを見ると井田のタカベを思いだしてしまうところ、自分はつくづく伊豆ダイバーなんだと思ってしまう。


枝サンゴを出たり入ったりするバーチークダムゼルの幼魚はまるで懐かしき伊豆に出現するミヤコキセンスズメダイにそっくりだ。可愛い♡


—南国の底力を見せつけられたのがバリカサグ『ブラックフォレスト』だった。

それはまさにダイビング雑誌に載っている写真そのものの凄い群れだった。


ギンガメアジの特大の群れだ。


その迫力に圧巻されてしまった。


巨大な塊は渦を巻きながら私たちを取り囲み魚の壁を作る。

それは2重、3重の層で出来ている強固な壁のようだ。


やがて菊の花がホロホロとこぼれるように群れが散らばるかと思うと、やがてまたひとつの塊になっていく。


こんな凄いものこの先見ることないのではないかというくらいの光景だった。


ギンガメアジの群れに興奮覚め止まない私の前を横切った巨大な青い魚!

私はその突然の出来事にびっくりした。


その魚の名は巨大魚ナポレオンフィッシュだ。


帽子のように出っ張ったおでこ!

あんなにユニークな大きい魚を見たのは初めてだ。


マヤさんが指す先には1m級のイソマグロが6匹泳いでいる。

やっぱりマグロ系はかっこいい。

光る体表にトゲトゲが魅力的。

明里さん風に評すれば、どこか男らしさを感じてしまうのだ。


このポイントは巨大魚の住処なのだろうか!?


2本が終わりボート上でのランチタイム。

そこでは食事の味も覚えていないほど、先のダイビングの話で盛り上がった。


食後のフルーツは私の熱を冷ますにはちょうど良かった。

その口のなかに広がる芳醇な甘みを味わいながらブルーに輝く海を眺める。


キラキラとする海の向こうから一艘の船が近づいてきた。


ま、まさか? 海賊では!?

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