今日、休日の過ごし方。
—日曜日
昨日、富戸ツアーからショップに戻ると、翌日の日曜日は仕事も講習も『休み』と言われた。
最近は『明日は講習』『明日は休み』と直前に言われることが多く、自分の予定を組むことが出来なかった。
だから今日も予定はなかった。
そこで、前々からやろうと思っていた作業をすることにしました!
敷地内の隅の柔らかい土、無造作に埋められたチューリップの球根を掘り起こす。
そして苗ポットにひとつひとつ植え替える作業だ!
なんと、私、昨年の失敗に学び11月にチューリップの球根を植えておいたのだ。
去年よりも少なめだけど、『花いっぱいキャンペーン』でお客様に配るにはいい頃合いだ。
去年は咲くかもわからない球根を配ってしまい、そのことを嘆いていたら哲夫さんが励ましてくれたっけ..
「 ....さっ、あと7個だ」
そして、それを一通り終えると.. ぽっかり空いた時間の七海頼み!
七海に『これから遊ぶに行く』と入れると、『今日は仕事の打ち合わせ』とつれない連絡が返って来た。
「太郎丸、今日はみんな忙しそうだよ。せっかく暇になったのに.. 天気いいから広場にでも行こうか」
太郎丸といくつかの公園へ行ってみたがどの公園も『犬を連れて園内に入らないでください』の看板。
「ごめんね、太郎丸。帰ろうか.. 」
駐車場で太郎丸とボールで遊んで、しばらくすると、掃除を始めた。
階段を掃いたり、手すりを拭いたり..
「錆が酷いなあ、これって簡単に塗れるのかな? 」
2階の廊下を履き終わり、哲夫さんの部屋の前でふと思う。
「哲夫さん.. ちゃんとご飯食べてるかな.. 」
掃除をひと通り終えると、ダイビングの減圧理論の復習をする。
「やっぱりわかったようでいて、まだ理解が足りてないや.. 」
これでは『組織コンパートメント』をうまく説明できやしない。
..確か今日、ショップのツアーは無いから片岡さんはいるはずだ。
私はわからない箇所に印をつけて店まで足を運んだ。
それに、昨日に続き、陽菜乃さんのIEは続いている。
その合否も気になっていたのだ。
——カラン ]
「こんにちは」
「おう、どうした? 今日は休みでいいって言ったのに」
「あの.. ちょっとわからない箇所を教えてもらいたくて来ました」
「そっか、熱心だな」
片岡さんはホワイトボードを使いながら『減圧理論』をわかりやすく説明してくれた。
「ま、だいたいこんな解釈でいいよ。あくまでも理論だから。それで..これだけでいいのか? 」
「はい、ここの箇所だけで大丈夫です。ありがとうございました」
片岡さんがテーブルの上の置時計に目をやる。
時計の針は5:30を過ぎていた。
「あの.. 陽菜乃さんの試験ってもう終わったのでしょうか? 」
「ああ、陽菜乃は合格したよ。もうすぐここに帰ってくるよ」
どうやら、私がここへ来る前に連絡が来ていたらしい。
「良かったです。じゃ、私もそれに続いて合格しなきゃですね! 」
「ああ、そうだな」
テーブルの上、ガスコンロが用意されていた。
「もしかして今日も鍋とかするんですか? 」
「ああ、まぁな。なんか久しぶりに焼肉食べたくなってな。タロちゃんは帰ってから夕飯をつくるんだろ? 」
「そうですね。でも面倒くさいから、私もここで焼肉食べて行こうかな。ははは、なんちゃって」
「そうするか? そうだな.. 肉もいっぱいあることだし。陽菜乃が帰ってきたら食べさせてあげようと思っていたから、食べていくといい」
「本当ですか? じゃ、私もご一緒します! ラッキー! 来てよかった♪ 」
何となく漫然とすごした休みに『焼肉』というイベントができてうれしく思った。
陽菜乃さんが来るまでショップのソファーでダイビング雑誌を見て時間をつぶす。
・・・・・・
・・
19:20頃、裏の器材置き場のほうで音がした。
(陽菜乃さんだ!)
そして正面ドアが『カラン』と鳴ると陽菜乃さんの凱旋だ。
「陽菜乃さん、合格おめでとうございます! 」
「あれ? 桃ちゃん!? ありがとう 」
私は駆け寄り陽菜乃さんの手を取った。
「陽菜乃、おめでとう」
片岡さんはやさしい声で言った。
「片岡さんがいっぱいお肉買ったんですよ。私もサラダとか作ったりしました。これから祝勝会ですよ! 」
「そうなんだ。タロちゃんがいろいろ作ってくれたよ。ビールもたくさんあるから飲もう」
陽菜乃さんはにっこり笑いながら、スッとキッチンルームに入っていった。
「片岡さん、来月は私がIEですけど、合格したら『しゃぶしゃぶパーティ』開いてくださいね」
「じゃ、ちゃんと合格してくれよな! 」
「それなら高級なお肉を用意しておかなきゃね! 」
すかさず言葉を重ねる陽菜乃さん!
( その言葉ナイスです!)
「約束ですよ! 私、高級しゃぶしゃぶの為にがんばりますからね! 」
『仕方がない奴だな』腕組みをする片岡さんはそんな顔をしていた。
「ねぇ、陽菜乃さん、証書みたいのあるんですか? あったら見せてください! 」
陽菜乃さんに見せてもらった合格証書には『Congratulation』の文字と『2月14日Instructor Examination合格』と記されていた。
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