宝物

私の部屋は一気に人が増えて、6人になった。

ただでさえ狭い部屋がさらに狭くなったように感じる。


「ところでさ、私が今日ここに寄ったのはもうひとつ大切な用があったんだ」


突然、蘭子が切り出した。


「せーの! 」

「もっちん誕生日おめでとう! 」


——パンパン!


クラッカーが鳴る。


「もうすぐ誕生日でしょ、桃? 実は七海が遅れたのはケーキを取りに行ってたせいなんだよ」


「 へへ.. ありがとう。凄くうれしい! ありがとう! じゃ、最初から七海と蘭で計画してたの? 」

「いいや、言いだしたのはシューファだから。そしてシューファもそろそろ来るんじゃないかな? 去年はいろいろあって出来なかったからね」


七海は得意そうに指を振りながら話していた。


「あの、桃さん誕生日なんですか? また僕だけ手ぶらだ。すいません。いや、誕生日おめでとうございます! 」


「何かわからないけど隣人さんおめでとう! 」

「もうお兄ちゃん! 失礼でしょ! 桃ちゃん、誕生日おめでとう! 」


琴緒さん年下なのに『桃ちゃん』って..


「なんか、こんなにいっぱいの人にお祝いされるの久しぶり。ありがとう。でもまた歳とっちゃったぁ」


「そーだ、そーだ。もっちん、私より年寄りになったってことだね♪」


遅れたシューファは大きな花束とプレゼントを持ってきてくれた。


3人からのプレゼントは可愛い夏用の麦藁帽子だった。


この帽子は、そして3人は

私の宝物だ♪

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