響き渡る不協和音
時間は、『最弱』の藤井和と『最狂』の桜城優の戦闘が始まるちょっと前まで巻き戻る――
紫色の炎が襲い、目の前に広がる。やばいと身構えたが、自分に炎は届いていなかった。直ぐ目の前で防がれている。
「せ、んぱい」
「大丈夫か?・・・油断するなよ、次が来る」
と相手の方を向く。すると、襲ってきた敵も次の動きに入っている。
「緊急連絡よろしく!」
「もう、してます!」
「さすが!」
そんな会話をしていると、また広範囲の炎を一人が放ち、もう一人が何かを放ってくる。それを正確に防いでいく先輩。相手はその様子を見て、舌打ちをして悔しがっているようである。自分も見てるだけでなく、銃を構え、いつでも撃てるように、狙いをすます。相手はこちらを囲むようにして、動きを止めた。
「もう少し、何かあってもいいんじゃない?言葉とかさ、会話をさ」
「・・・・・・」
「だんまりかよ」
と文句を言う。相手はそれを聞き何か首をひねり考えているような動作を示す。そして、
「いやー、先走りすぎだよ、二人とも」
リーダー核と思わしき人物が話しだした。
「はは、さすがだよ。・・・・『最響』の
「!!!」
「はは、驚きましたか?しっかりと下調べしてますよ。まぁ、全部はわかりませんでしたけど、、、、」
その言葉を聞いて、妙に納得してしまう。・・・・言葉から察するに計画されてるな、この襲撃は。だが、わからない。なぜこのタイミングなのか。
激しい戦闘が続く。相手の炎を防ぎ、壁を出せば崩し、そのまま衝撃を相手に伝え吹き飛ばす。相手の動きに合わせてその時の状況に合わせて俊敏に動く先輩。
・・・手を出せそうにない。敵の一人は、残りの二人に戦闘を任せ見てるだけであった。警戒は解かずに、話すことを試みてみる。
「なぜ、こんな事を?」
こちらをちらっと一瞥し、また視線を戦闘している場に戻す。
「なぜ、なぜか。・・・・目的成熟の一環のため」
目的?いったい何を企んでる?・・・もしかして襲撃は手段、過程の一つ?
この襲撃の裏にまだ何か企んでいそうなことを発言したのだった。
「目的とは何だ?」
銃を構えながら、問う。
「それは、教えられないよ。・・・銃を構えるのをやめてもらえるかな。さすがに銃弾じゃないとはいえ痛そうだからさぁ」
「!!!」
こちらの武器の詳細を知っている。確かに、準備してきたことを伺えるようなことを言っていた。知っていても当然かもしれない。・・・・今構えている銃は言われた通り銃弾が込められてるわけではない。銃弾の代わりに、電撃が放たれるようになっている。殺すのではなく、捕縛するために。威力も段階的に三段階だが上げられる。もちろん、最大でセットしている。威嚇射撃では意味がないことは見てるだけでも感じる。
「・・・・で?いつまでやってんのー。早く終わらせなよー」
と仲間の二人に呼びかけた。
仲間の二人もそれを聞き、ビクッとし、構え直す。相手の気が引き締まったように思えた。
「・・・・・」
望月先輩はかけていたヘッドホンを耳に当てた。
「何のつもりだ」
「本気で挑むための準備」
そう言った瞬間、望月さんを壁が囲む。そして、そこに紫炎が放り込まれ壁の中央で炎柱がたつ。
「!!!」
「さて、動く準備しましょうかね」
望月さんのいたところは燃えている。無事なのか確認もできない。
「も、もちづき、さ、ん――――」
「出てきそうだし」
相手のつぶやきと同時に壁にひびが入り、望月さんが囲いの中から出てきた。
「!」
「くっ」
「さてと、」
望月さんが二人を蹴りやこぶしで吹き飛ばす。
「
と言いこちらを見た。
「さすが!・・・二人だけでは無理だとは思っていたが・・・・」
という言っている。「こうも簡単に引っぺがすか...」とつぶやいている。その最中に望月さんはなぜか後ろに腕を払う。その動きを視界におさめながら、
「へーー。思ってたよりもきついかも」
「あぁ?いいから、かかってこいよ。元々三人相手するつもりだよ」
「はっはは。喜べ、あんたも十分バケモノクラスだよ」
二人の戦闘が始まる。片方が蹴りを入れると、止める。お互いの攻撃が打ち消し合うように激突してるのはわかる。上級者のレベルの戦闘と言うものだろう。ただ、不思議なのは、お互いにぶつかっている時に、間が空いていることだ。普通の戦闘のようにぶつかり合って、止めてるところもあるのだが。などと考えていたら、他の2人が近づいてくるのが見える。ぼくも参戦しなくては。
まじで忙しない。一人に集中したいが、他二人の攻撃もさばかないといけない。炎に壁など、そして謎の攻撃とくる。3対1はできないことはないがきつい。その時、炎がに電撃が打ち消され、本人の方にも素早く飛ぶ。
「あぶな!」
「?」
そちらの方を見てみると、葉が銃を構えていた。
「あぶねぇだろう」
と言って、一人が向かうが、うまくかわし攻撃を加えていた。
「この野郎。。」
ナイフか?銃以外にも構えている様子を見て、考えを改める。油断はやめよう。こいつも隊員の一人なのだ。さっきまで弱そうという印象だったのに。
「どうしたんだそのピン?」
「スイッチだよ。やる気のね」
と言って駆け出してくる。炎で視界を防ぐ。これで、左右に限られる。どっちだ。すると、炎の中が光った気がしとっさに体をそらす。さっきまで体があったところに、一線の電撃が通る。こんな細く素早いのもだせるのか。威力も強そう。こいつの特別製?全員?・・・というか、普通目の前に迫ってきて撃つ?さっきと別人じゃん。
避けて体勢を崩したところに迫ってくる。何とか避けるがかする。痛いし、しびれる気がする。
「まじ?よけるの」
ため息まじりにこぼす。
さて、何とか動けてる、戦えてる。どうにか一人だけでもこっちで引き受けなくては。
「ちょっと、なめてたな。君は問題ないと思ってたよ、この戦い」
「あぁ、一応隊員なんでね」
一人で何とかしないといけないと思っていた。それぐらいのレベルの敵だと。葉の様子を見て、やる~と内心口笛を吹く。後は、この二人をどうにかしないと。
「お前、邪魔」
コンクリートの壁を繰り出すやつを思いっ切り何発も入れて飛ばしてやる。でも後ろの警戒は解かない。3人の中で一番やばい気配をした奴がいるから。
「さっきからなんで避けられるのかな?」
不思議そうに相手がいう。確かに、何度も見えない攻撃を仕掛けられている。タネはわからないが、攻撃が来てることはわかる。
どう攻略するかな。
炎を散らしてくれば、こちらも連射で対応する。いくらかは自由が利く。そして動きについてもスーツについている機能などでどうにかついていける。相手もあせっているはず。ここに、釘付けにする。・・いや、倒しきる。
厄介だ。さっきとはまた違う。こちらの動きに対応し攻撃を加える。しかもそれが当たってるのだ。能力を使ってこれだ。相手なんてこちらの様子をうかがってるのがわかる。隙はどこだと虎視眈々と狙っているのだろう。くっそ。どうすればいい。どうすれば。
その時、
「どけ」
と聞こえた気がし後ろに下がると、相対していた隊員が吹っ飛んだ。
「なっ、葉!」
「うん。あっちからやろう」
「この野郎!」
「鋭い蹴りだね。さっきからまともにやっても勝てそうにないや」
音を大きくし爆弾を――――
気づいたら体が飛んでいた。なんとか、受け身をとるが何が起きたか理解ができない。
「油断した?それとも、判断が遅れた?」
ふふふと吹っ飛ばしたであろう相手は笑っている。そして、
「もう一回」
「させるか」
防ごうとするが、前に突然壁が現れる。もう戻ってきたのか。壊し、駆け寄るが。
「!!!」
相手が驚いた顔をしていた。向いている方向を見てみると、銃を放ち攻撃を防いでいた。
何が起きたのかはわからない。知らないうちに吹っ飛んだのだ。やばい立たなくては。追撃が来る。気づいたら、銃を構え放っていた――――
「防ぐかー」
もう一回放ってみるが、何かに気づいたのか防ぐ。・・・勘か?まぁ、一応別の方法で行くか。考えをまとめていると、攻撃がこちらにくる。何とか防ぐが押される。
これでもくらえ。だが、ぎりぎりで防がれる。
防いだが、爆発か。それぐらいの衝撃が襲う。はっっ?・・・くっそさっきから、なかなか本人に攻撃が当たらない。というか、貫通しないが正しい気がする。たまにかすってはいるのだ。もしかして、ぼくと似たようなものか?形状、タイミングは何となくサーチのおかげで感じるんだがなぁ。なにが決め手になるのか。
激突が続く。二人の攻撃はお互いにぶつかり相殺され、またぶつかる。何かのきっかけで崩れそうな均衡の中で行なわれていた。
こちらも、何とかしのいでいるが決め手に欠け限界が近づく気配がする。
「・・・・・。攻め方を変えますか」
とボッソと呟く声がした。何があってもいいように構える。
すると、離れたところから「うっわ」と声が聞こえる。見ると、葉が浮かんでもがいている姿があった。
「くっそが」
「ふっ、気持ちがこもってますね。・・・・こっちも!」
こっちにも攻撃の衝撃が来る。何発かはもらってしまいよろめく。
「・・・・そうですね。あの人の命が惜しければひいてください。もしくは、抵抗するな」
と冷たい声で促してくる。
「・・・・・・」
「大丈夫ですから!何とかしますから!」
「うるさいな」
叫んでる声が聞こえる。
・・・手を下げ棒立ちになる。顔を上にあげている様子からは、はたから見るとあきらめたように見える。何とか振りほどこうともがくが、拘束は取れない。その間も望月さんは攻撃されてる様子が見え、攻撃の衝撃で砂が舞い、火花が散る。
急に拘束が取れる。何故かははわからないが、チャンスが来たと思い銃を構えるが攻撃が前に迫っていた。何とか避けるが体の半分は避けれず痛みが走る。
「!!!!」
転がると、また迫っていた。間に合わないと思ったら、攻撃は届かなかった。望月さんが止めてくれていた。
「はぁ、はぁ・・・」
息切れをおこしている。
「せんぱ――」
体が浮いて飛んでいた。
浮いてる中見えたのは、逃げろとでも言いたげな表情の望月。そして、そこに集中攻撃が降り注いだ――――
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