コンセプト

 準備に追われる毎日が続く。そんな忙しい毎日を過ごしていると、会議で呼び出された。

 「・・・会議って話すこと無いでしょ」

 「そう言わないで行きますよ、九ノ瀬ここのせ主任」

 「・・・難癖付けたいだけだって....」

 気が乗らないまま会議室に行く。そこには、リモートでつながっている大きな画面が何台かと、指で数えられるほどの人数がいた。席に着くと、

 「それでは、定例報告会を行う」

 と始まりだす。

 あーーー、つまらん。


 「次は、九ノ瀬主任。報告をどうぞ」

 「はーい。特に変わりはありません」

 「変わりはないというが、私は聞いてないことがあるのだが?」

 何のことだろうか。議長が重々しく言ってくる。

 「何のことでしょう?」

 「・・・次の能力測定のことだ」

 あー。確かにこいつには言ってなかったかもしれない。というより言う必要を感じない。

 「あー、それですか。言ってませんでしたっけ?」

 「ああ」

 「でも、それを聞かれるってことは耳には入ってるんですよね?」

 「入ってはいるが、おまえの口からも聞きたいのだが」

 「そうですか、、、」

 さて、どうしたものか。ただ実施するというだけなのだが。説明するとこなど何もないのだが。心の中でため息をつきながらも簡単にまとめて言う。

 「今回は、戦わせて能力を計ります」

 「・・・それで、わかるのか?」

 「詳しくはわからないでしょうね。でも、どうせ、いつも通りしても能力測定値はオーバーで測定不能でしょうし、よくわからないでしょう。なら、危険になった際の様子を見てみるのもいいかと。戦闘中の様子は普段見れないでしょう?」

 周りは意見聞いて黙ったままである。

 「一理あるでしょう?」

 念を押してみる。

 「・・・・ふむ」

 さてこれで、文句言われたらどうしようかね。

 「安全性は?」

 「さぁ?予想ができませんし。一応、はつけてもらいます。ただどうなるかまでは、何とも。ただ、場所は実験都市、部隊も近くには配備します」

 「そうか」

 「他には?」

 「・・・・・・・・」

 何かを考えこむようにして、黙っていた。もういいかな。順番的にも最後だろうし。

 「それでは、準備で忙しいので。・・・・何かあったら連絡を」

 と最後の方は声を低くし、お辞儀をしてから手を挙げて会議室から去る。


 「主任!!」

 「なんだい?真依くん」

 「なんだい?じゃありません!もう!急にバックレて!!」

 「あはっはは。大丈夫でしょ。何かあったらまた呼ばれるさ。・・・まぁ、ぼくもそれなりにえらいし、大丈夫大丈夫」

 「おい」

 思わずため口になってしまう。この人は本当に。この感じだから、尻拭いも業務に含まれるのだ。はぁ、でも憎めないんだよな。

 「まぁ、準備に忙しいのもホント」

 確かにそうである。もう実施する日が近づいているのである。業務が増えているし、みんな連日忙しそうである。

 研究室、司令室に戻るために廊下を歩く。ふと気になり聞いてみる。

 「・・・さっき、全部は言いませんでしたよね」

 「?」

 不思議そうな目をするので、ジトーと見ると、降参とでも言うように、

 「あぁ、さすがにね」

 と笑いながら、彼は言う。

 「言えないでしょ。コンセプトは『さいきょうを決める!』ですって。これは、自分が見てみたいという気持ちがあって企画したところあるしさ」

 あぁ、そういえばそんなことをいってたな。・・・他にもがあるだろうに。

 「いやー、でも予想してなかったなにも話の噂がいってたとは」

 困ったように言いながらも、どこか楽しそうに笑う主任。

 「まぁ、どうにかなるさ。もう準備は進んでるんだし」

 と気楽に言いながら、歩を進める。

 「そうですね」


 

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