招待状
「ねぇ、師匠。手紙がきてるんだけど」
「うーーーん。あー。置いといてー、見るから~」
郵便物について、教えると、ゆるい返事で返される。師匠は、ソファの上で寝転がりながら、手をひらひらとふっている。やる気を感じない。しょうがないなと思いながら僕は、手紙の送り主を見てみる。そこには、とある協会の正式名称が書かれていた。
「で、内容は何だったんです?」
入れたコーヒーを持っていきながら、師匠に聞いてみる。師匠は。「うーんと、ね」とのんきな声を上げながら、答える。
「能力の定期的な把握のための招待状」
「招待状?」
「うん。一人同行者ありで、バトルロワイヤル形式での試合だってさ」
なんだそれは。あまり聞いたことのない文言が並ぶ。というか何を言ってるのか。定期的な把握のために試合?はい、何それ?困惑してる僕をよそに師匠は手紙に目を通すと、「はいっ」と手紙を渡される。渡されたので読んでみる。内容をまとめると師匠の言っている通りであった。そして、最後らへんに「楽しくいってみよー」みたいにお気楽に書かれていた。まじか。というか、それでいいのか。
「・・・行くんですか?」
「行こうかな。久しぶりに顔を見せた方がいいだろうし、、見たいし。・・・
・・・・え?今なんて???んー聞き間違えだろうか?うん、そうだ。聞き間違えだ。僕が固まっていると、
「和も行くんだよ」
ともう一度繰り返し伝えてきた。聞き、聞き間違いじゃなかったーーー。
「聞き間違えじゃなかったー」
あまりのことに心の中の声が出てしまった。あーーー。
「噓ですよね?だって、細かいことも書いてあるじゃないですか。対象じゃないですって!!!」
手紙の中には、主催者からの手紙と、詳細が簡単に書いてある書類が送られてきていた。
「ちゃんと読んだ?言ったでしょー。同行者一人OKって」
ちっくしょー。僕は、あまりのことに膝から崩れ落ちてしまう。だって内容には、やばいレベルの人が集まるって書いてあった。この野郎ーーー。絶対、違うってーーー。師匠が呼ばれてる時点で違うってーーー。心の中で叫ぶが、聞いてはくれない。聞こえないし。
すると、師匠はソファから立ち、
「うん。出るならやっぱり優勝だよね!・・・さぁ、準備して。コーヒー飲んだら、修行の続きだよ」
と、きらっ、みたいな効果音がつきそうないい笑顔で言ってきた。
何だよ、試験で優勝って。・・・もう泣きそうである。
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