第28話

028

——何もかも、思惑通りだった。だからこそ気に入った人間を虐げる事で、『殺人マシン ごろう』は今日まで平穏を手にしてきたのだ。まるで子供が泣いて喚けば、大人が自身のいう事を何でも叶えてくれると勘違いしているのと、同じように。




029

そして、ごろうは壊れた人形を捨て去り、標的を変えることにした。その時、偶然耳にしたのが“紀眞家の長女”だったのだ。何でも、相当な力を持って生まれたのだとか。自分よりも遥か年下の子供なんて常ならば興味はないが、ごろうの本能が告げる。『その娘は、絶対に服従させるべきだ』と。


結果、紀眞家の娘――キヨラは、奇しくも『殺人マシン ごろう』の標的となってしまったのである。彼女の本来の目的を撹乱し、自身の人形として彼女を手に入れるため、彼は期が熟すのを待って——ついに動き出したのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る