第24話
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湿気の多い薄暗い家の縁側に、一人の男が座っていた。ランドセルを背負った少女――紀眞キヨラを見つめる男は、心底愛おしげに目を細めた。彼の名は『殺人マシン ごろう』。異名と共に語り継がれた彼の名前は、裏の界隈では有名なものだった。彼はキヨラが生まれてからずっと、彼女を龍神として使役する事を目的としていたのだ。何時しか彼女をこの手で支配し、殺してやりたいのだと、『殺人マシン ごろう』は常々語っていたという。そんなごろうは、陰陽師”はれあけ”の後継者のひとりであった。才能を認められ、陰陽師として力を与えられたのだ。——しかし、力を確実に自分の物にした時。彼はこの世界に愛想を尽かせてしまったのだ。
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陰陽師のごろうに媚びを売る人間は、ひどく多かった。とある男は「『そらうみ』の生け贄を卒業したまきを、世界一残虐に虐げることが出来た暁には、私と結婚して頂きたい」と下品に笑い、ある女は「一夜で良いから私めに一元を是非。しかし、もし私が孕んだら、あなたは私のモノですよね」と薄気味悪い笑みを浮かべながら口にする。自分のいいなりにしたいと欲望を滾らせる奴らに、『殺人マシン ごろう』は心底飽き飽きしていた。人間の欲なんぞ、数数えればそう多くはないのだから。興味のない事を延々と語られる中、ごろうは考えた。この飽き飽きした世界を、どうにか自分の過ごしやすい状況に出来ないものか、と。考えて、考えて————そうして、思いついたのだ。
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