第20話

020

キヨラの一族……紀眞の血族である私は、親衛隊に親類と認識されているから苛めには合わないけれど、もしそうじゃなかったらと思うと怖くて仕方がない。それでも、キヨラちゃんに近づけない他のファンにはよく思われていないらしいし……いつ苛めに合か分からない、危ないポジションに私はいるのだ。——そんな私が、彼女に“恋”……だなんて。


それこそ、親衛隊の子達に目を付けられてもおかしくない。無償でキヨラちゃんの隣に居たがる人間は、山ほどいるのだから。しかも、私はキヨラちゃんと同じ女の子。結婚が出来るわけでも、彼女を守る力がある訳でもない。……私、お荷物だなぁ。そう考えれば考えるほど、私は自分の気持ちを認めることが出来なかった。




021

「トオルちゃん、一緒に帰ろう」「う、うん」キヨラに話しかけられ、慌てて頷く。いつの間にか帰りの会は終わり、みんな各々にランドセルを背負っていた。私も自分のランドセルを引っ張り出すと、中に教科書とノートを詰めた。あの間も、待ってくれるキヨラちゃんは優しい。私はランドセルを背負って、キヨラちゃんと一緒に教室を後にした。

──そんな綱渡りのような関係が崩れたのは、それからそう時間の経っていない時だった。

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