04:ネタ帳は用意した方がええよ
私は10歳からショートショート書き始めたのだけど、本格的に中編長編を書くようになったのは中学に上がってからだ。
前回も言及したが、書き手のタイプには、事前に設定を詰めてから書くタイプと、勢いで書き上げるタイプ、そしてその混合型がおり、私は基本設定詰め詰め魔である。
しかし中学の頃に書いていたのは、全く設定を考えずに勢いとノリで書いた結果設定破綻しまくりの駄作群である。
いや、勢いだけでも良作を書き上げられる人がいるのは重々承知だ。だが、少なくとも俺のようにそれに不向きな人間も一定数いるし、個人的にはこっちの方が絶対数は多いんじゃないかと踏んでいる。
そして高校一年で不登校になった俺ちゃんは、昼夜転倒しつつネット上で小説の師匠と出会う。
彼が私の小説を読んで指示してきたのはたったひとつ。
「ノート一冊設定で埋めてから書け」
これ、一見ハードに見えると思う。実際慣れないとハードかもしれない。
だが今になると、私は大抵ネタ帳は一冊半くらい使う。
まあ、ノートの種類にもよるだろう。A5サイズのドット方眼だったら案外簡単かもしれないし。
最初に俺が選んだのは普通に学校で使うB5サイズのB罫線のノートだった。
そして、師匠に少しずつアドバイスを受けながら、
・小説のタイトル(仮タイトルでもよい)
・小説の主題(何を描きたいか、読者に何を伝えたいか)
・小説のキーワード(主題を描く上で重要な言葉や要素)
・小説の長さ(大抵は原稿用紙換算で何枚か)
・主人公の名前
・その他重要人物
を、1ページ目に書くようになった。
2ページ目からはフリーダムでよろしい。
いきなり主人公の設定をしてもいいし、舞台設定、時代背景や世界観の設定、あるいはプロットやストーリーラインに行ってもいい。
とにかく最低限、ストーリーの整合性を保てるだけの設定だけは書いておいた方がいい。「書いておいた方が」というのは記録という意味でだ。頭の中に記憶していても、長編や複雑な話になると、高確率で破綻する。
また、余談になるが、八壁の場合、ネタ帳は二つのタイプに分けている。
一冊は「総合ノート」で、ネタを思いついたりした時に書き留めるもので、それがある程度固まり、「これは1本の小説として成り立つな」と確信が持てたら、別途それ専用のネタ帳を用意する。
さらなる余談を加えておくと、手書きかスマホ&PCという問題。
芥川賞作家にして詩人でもある町田康は、パンク歌手として先にデビューした。
彼は小説家や詩人である以前に、リリシスト=作詞家でもあったのだ。そんな彼が言うには、
「歌詞はグルーブ感を生かすために手書きで書くが、小説は整理整頓しなければならないのでPCで書く(意訳)」
とのこと。これには私は100%同意する。
ネタ帳にガーーーーっと右手が痛くなるまでネタ出しする時の高揚感は、おそらくPCでは味わえない。無論、これはPCやスマホでのネタ出しを否定するわけではない。私自身、出先で筆記用具を持っていない時は、スマホのネタ出し専用アプリにサクサクっと入力するのは嫌いではないし、それを再度手書きに落とし込む時に新たなアイディアが出現したりするので面白く思う。
また、これは個人的な推しだが、昨今「小説執筆支援アプリ」が多々見受けられる。
その中でも、私は「Nola(ノラ)」を強く推したい。
PCではWEBアプリで、スマホ版もある。
私は主にWEB版を愛用しているが、これがもう神アプリでなくて何なんだ、という多機能っぷり。詳細は別途書きたいので、今回は割愛する。
ネタ帳の話に戻ると、師匠の教えをほぼほぼ完遂し、B5のノートを設定で埋めてから書き始めた小説は、最後まで破綻することなく書き上げられることができた。
もちろん書いている最中に「このネタ入れたいな」といった思いつきなどが浮かべばそれらを挿入したり、逆に元あったアイディアを削ったりという細かな作業はあったが、上手い具合に当初の予定通りの着地点に辿り着けた。
それが、文藝賞で第二選考を通過した小説である(当時は一次、二次、最終しかなかった)。
以降、私はネタ帳を用意せずに小説を書いたことがない。
よほど短い小説でノートを買うのがもったいない場合はルーズリーフを使用したりしたが、それでも手書きでのネタ出しはいまだに続けている。
最後に私が必ずネタ帳に書く項目でも紹介して終わる。
1ページ目は上記の通りなので、順不同で。
・プロット(物語の骨組み)
・主人公の深掘り(氏名、年齢、身長体重、生年月日、血液型、家庭環境、生育歴、パーソナリティ、喫煙者なら銘柄、職業、外見的特徴、オプションでテーマ曲)
・重要人物の深掘り(同上)
・その他キャラクターの設定
・舞台設定
・主人公のマインドマップ
・三幕構成(これは別途書きます)
・各登場人物の関係(相関図ではなく一対一の関係)
・物語自体のマインドマップ
・その他、思いついたネタや修正、たまにテーマソング設定
こんな感じだろうか。
最後に、「ネタ帳はよく読み直した方がええで」と、健忘症持ちの八壁が貴方の耳元で囁きながらグッパイ。
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