第83話 帰宅

 俺は親子丼の写真を撮り忘れてしまった…………どうしよう。


「と、とりあえず残った丼の写真撮らないとっ」


 パシャり あとは………


「こういう時は」


「おう『こういう時は?』」


「アヘ顔ダブルピースで、即ハボ?」


「違う、そうじゃないっ。普通で良いんだ普通で」


 女子高生がそんな事言うんじゃありませんっ。俺、将来が心配ですっ!


「おっけー」


 そう言うが早いが、どこからか呼び鈴を取り出して


 チリンチリン


「ママ〜! オーダー さんぴーで♡ ふつ〜のしゃしん♪」


「うぃむっしゅ♪」


 と言う掛け声ととものにファンファーレが鳴り響いて………来てはいない。いつからここが、ビストロS○APだと勘違いしていたっ。 ―――親子丼を注文したあたりからかっ! 結構前からだったっ!


 って言うか、3Pで普通の写真ってなんだよ。マ○オパーティの3人プレイの事かな。きっとそうだよね?


 そんな事を考えつつ待っていると、菜月さんがやって来て撮影会になった。3人だと画面に収まりづらいので、3人でムニュムニュしながら撮っていたんだが。


「そういや、部屋に三脚さったよ」


 と言って、リナが部屋に三脚を取りに行ってしまった。そうすると菜月さんと二人っきりになったんだが、何を話したらいいやら。


「ねぇ虎杖くん。実際どうなの? うちの子の事」


「どうも何もただの友達ですよ」


「それにしては、距離感近いんだけれど」


「なんか、高校で再会してからあんな感じなんです。俺もびっくりしてます」


 ふーん? そう言う言葉が聞こえて来そうな表情で見つめられてしまった。大人の女性に見つめられるのって、なぜだか緊張してくる。


 なんて答えたら正解なんだ…………そもそも正解なんてあるのか?


「何にもありませんよ」


「何もないと逆に心配になるんだけれど……………あの子、ちょっと変じゃない? その趣味が…………」


 リナさんっ親にも思われてましたよっ!! やっぱりママンには、隠せないんだ。それは俺も同じだっ! サオリとかママとかサオリママとか。サオリしかいねぇっ!


 アイツなぜか色々知ってんだよなっ。どこの家も同じなのかもしれない………。


「あぁ。それは、俺も理解あるんで大丈夫ですよ?」


「そう? それならこれからもよろしくね。いざという時は、ちゃんとセキニン取ってね♪」


「あぁ、はい。セキニンですね。わかります……」


 そうだな。セキニンって言えば認知とかだな。致してないから、認知しないけど。でも、何かあったら助けたい。と思ってる。


「三脚もってきたよー」


 リナが戻って来たので、改めて撮影をした。でも、送る写真ってこんなんで良いんだっけ? 違う親子丼な気がする…………。


 そんなオタクのお宅訪問ももう終わりだ。



「それじゃ、失礼します」


「はーい。またきてね♪」「また来週〜。あ、お家に日曜日なら行っていい?」


 日曜日か………上手く行った場合は問題ないだろうけど。いや上手くいかなかった場合も、気まずくならなくていいかも? その時次第だけれど…………。


「わかんないな。あぁ、でも勉強会はした方がいい気はするな」


「それじゃ、日曜日は行くね♪ 決まりっ」


「わかった。サオリにも伝えておく。それじゃまたな」


 そう言いつつ俺たちは分かれた。さて、サオリに連絡しておくか。


いち:写真送ったよ。食べ終わったあとだけれど、なめこ入り親子丼だった。

いち:三人で撮った写真だが


 と文字と打った所で間違えて送信してしまった…………ど、どうしよう。えっと、削除したら相手に届かなくなるんだっけ? 消えるのは自分の端末だけだったような。


サオリ:だが なに?

いち:とても美味しかったです。

サオリ:だからなにが?

いち:菜月さんが作った親子丼が。あと、菜月さんすごく元気そうだし。リナとも仲よさそうで安心した。お父さんには会えなかったけれど。

サオリ:アタシもお父さんには、会ってないな。

いち:いつか、だな。


サオリ:いつか。だね。っで? 随分楽しいそうじゃない? いち:サオリは今どこ?


 おっと、メッセが入れ違ったっ。たまにこういう事あるよなっ! 文字だけで、表現する時、どうやったらいいかわからないけどっ!


 それからもメッセを続けつつ帰宅をしていたんだが


 カバンの中身が妙に気になって来た。この中に使用済みの電……………マッサージ機と、潤滑ローションが………今更気づいたんだがこれどこに置いておこう。どこに置いてもバレる予感がしてしまう。


 部屋の中に置いておかないとイザと言う時に使えない。ゴムもだが………これは大きな問題かもしれない。先に見られたりすると、気まずいし。かといってすぐに取り出せないと、雰囲気が壊れてしまう気がする。


「さすがに枕元に置いとくわけにもいかないよなぁ」


 うーん。と悩んだ結果。とりあえず、カバンの中に入れっぱなしにしよう。そう決めた。掃除の時にカバンの中は流石に確認しないだろうしな。


 帰宅後、制服をつけおき洗いして、明日のデートに期待と緊張を感じつつ。その日は寝る事にした。


つづく

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あとがき


前話の親子丼その②について、親子丼にグリーンピース入れると

「そこに豆があるではないか、それもくれないか」

「えっ。ダメだよ。この豆はあげられない」

的な展開で、もっと攻めた表現出来たことに気づいた作者。


も、もっと早く気づいていればっ!!Orz


でも、普段からグリーンピースが冷蔵庫にあるってどんな家庭なんだろ?

使うのはチャーハンとか茶碗蒸しくらいしかパッとは思いつきませんね。

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