第80話 二つ
「大変だったんだな………今のリナと菜月さんからは、想像出来ないけれど」
「まぁね。でも、ママは田舎に行ってしばらく働くのを辞めて前の趣味だった筋トレ始めたら元気になっちゃったの。精神的な問題だったのかもねぇ」
あぁ、そういうのって有るよな。追い込まれると、何も出来なくなっていくってやつ。俺も、サオリに振られた後、何もやる気にならなかったからなぁ。
そうか筋トレが奈月さんを救ったのか、すげぇな筋トレ。いや、それだけでは済まないくらい元気になってる気がするが…………親子丼楽しみだなぁ。
違うっ違うっ。そうじゃない。
俺は、リナの昔話を聞かせてもらった。でもまだ分からない事がある。
「そうするとさ。リナとしては、どうしたいんだ?」
「うん? なにが?」
「その、俺たちの関係だよ」
「ずっと3人で、一緒に居たいと思ってるよ♪ でも、男女でずっと一緒の友達ってありえるのかな? なんか、そんな漫画みた」
「あぁ、そんな漫画あったな。ラノベだったか………仲良くなりすぎて、友達同士のままではいられなくなるんだっけ…………」
「だったかな? まぁ、それは後でよくない? もっと大切な事あるでしょ」
もっと大切な事って、なんだろう? そう思っていたら、隣に座って居る娘が体を寄せてきたんだ。今まで、手を繋いだり、ちょっとハグした事は合ったけれど。
体を預ける様に乗せてくるのに合わせて、良い香りが漂ってくる。そのまま耳元に口を寄せて来て、問いかけてきた。
「ねぇ。私のことどう思ってる? 可愛い? 好き? エッチしたい?」
「なんだ。その三択は ―――――リナは、可愛いし。優しいよ。正直、好きだと思う」
「ありがと。それで………エッチは? まだ時間あるよ」
「ダメだって、そんなことは出来ない。サオリに悪いだろ」
「ふーん。でも、処女と童貞だと上手くデキないって言うよ?」
だよなぁ………実際、明日サオリ誘おうと思ってるけれど。うまく行くか今から、心配だ。思わずため息が出ちゃうぜ。
「そんな、いった君に良いものをあげよう♪」
「なんかくれるの?」
「さぁ、お願いするんだっ! 助けてくださいって♪」
ここで、二つ目の願いか。一体何があるのやら。目の前の機嫌が良さそうな彼女はいつも俺を楽しくさせてくれる。
「あぁ、お願い僕を助けてよ。リナえもん」
「たぬきじゃないよ。猫だよ。みゃーみゃー」
そう言いながら、リナは俺の耳を舐めて来たっ。何っ。猫の真似なの? びっくりして思わず離れてしまった。耳を舐められるなんて初めてだ。
「あ、ごめんね………嫌だった?」
「いや、びっくりしただけだよ。 ――――初めてだったし」
「そうなんだ。サオリちゃん良く匂い嗅いでたから、てっきり………でも、寝てる間にされてたりしない? そういうのって、お約束だよね?」
「そんなの知らないよ」
なんか耳に付いた唾液が気になる。手で拭ってしまっていいんだろうか。女の子の唾液…………食べ物シェアした事あるのに、体についた唾液はまた違うものに感じる。なんでだろう。
そんなことを考えてると、顔を直視出来なくなってしまった。
「それじゃ、改めて『そんな、いった君に良いものをあげよう♪』」
「………助けてぇ、リナえもん」
「はい。それじゃ、目を瞑ってね♪」
「え、また何かするの?」
「まぁまぁ、いいから♪」
次は何されちゃうんだろう。そんな期待とともに目を閉じた。
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え、今、期待しちゃってた!? 待っている間の時間も気持ちも、自分でも良くわからなくなって来た。なんだか、唾もいっぱい出て来た気がする。目を閉じて待つってこんなに緊張するもんだっけ。
目を閉じているので良くわからないが、リナは何かごそごそやっている。
「はーい。手を出してね。渡すから♪」
言われるがまま、俺は両手でものを受け取る体制を取った。そうしたら、何か物が置かれた。
「どうぞ♪ もう目を開けてもいいよ♡」
目を開けると、そこに有ったのは……………。
「えーと。これは?」
「ローションとマッサージ機だけど? 見ればわかるよね?」
渡されたのは、スティックタイプのマッサージ機、まぁギリギリ普通のマッサージ用と言えなくもないものだった。
それと、買うかどうか迷って買わなかった、潤滑ローション…………確かに、確かにあった方が良いアイテムかも知れないがっ!!
「それは良いけど。いや、良くはないんだが。これ使用済みじゃない? 封空いてるよね?」
「普段使いしてる奴だよぉ♪ 男の子って、使用済みって好きでしょ? あ、使った後、ちゃんと毎回、綺麗にしてるから安心してね♪」
そうかぁ。キレイズキなんだなぁ。エライなぁ…………使用済みかぁ。
ブルセラかよっ。行ったことないけどさっ! でも、需要があるのは分かるっ! 実用されてたと言うだけで、ただの無機物がなぜかエロく感じる!!
パンツは、履いてたり使用済みだと意味があるんだ。履いてなければただの布だ。
中身が大事なんだ中身が……ってそうじゃない。
「こんなん持ってて、サオリに引かれないかなぁ………」
「電マはまず、いった君が使ってみたら。気持ちいよ。って誘えば、ワンチャン」
「電マって言いやがったっ。まぁ、これはギリ普通のマッサージ機に見えなくもない? かな」
「ローションは持ってた方がいい。これ経験談」
「え? リナって経験あるの?」
「さぁ、どうでしょ? ココで、確かめる? イイよ♡」
そう言いながら、自分の下半身を指差すリナ。まだ着替えてないからスカートなんだけれど、もう片方の手で、布を上に上げて誘ってくる。そんな姿が艶かしい。
二人きりで、そんな事されると………俺の下半身が反応してしまった。目の前の娘は、処女なのか非処女なのか、シュレディンガーの猫か……。
俺、気になりますっ!
「無理だよ」
「私って無理? 興奮しない? エッチしたくない?」
「そうじゃなくて…………もう時間だよ」
スマフォを確認すると45分が迫って来ていた。あんまり遅くなると奈月さんがやって来てしまう。
つづく
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あとがき
45分って、それなりに時間あるようでないですよね。
トーク力ある相手だと余計に。(なんの話だ)
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