第75話 真似
どうやら隣の席のギャルは、お願い事を3つ叶えるまで、離れてくれないらしい。でも、何をお願いすればいいのか分からない。ので、決断は保留することにした。
「思いつかないから、今回は保留で」
「えぇ。またキープちゃんなの?」
「意味合いが違うが……キープで」
「キープちゃん継続。まぁ、イイけどさ」
そうやっておしゃべりをしていると、授業が始まったので俺たちは黙った。隣の席の娘は、意外と言っては失礼だけれど。俺より勉強が出来るので、授業中は真面目に受けている。
それに、そろそろ将来の事を考える必要がある。今のままだと、サオリのヒモになりかねない――――それが、結構リアルに想像出来てしまった。
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今日は、サオリは委員会の仕事があるらしく。お弁当を渡して行ってしまった。もっと一緒に居たいのに。と思うけれど仕方ない。
「いった君、上の空だよ?」
「あぁ、ごめん。考え事してた」
「目の前に、こんな可愛い娘が二人も居るのにヒドくない? どう思いますか、クミ選手?」
「選手ちげーし。でも、まぁヒドいわ。眼中にないとかキズつくわぁ」
今日は、伊藤さんもお昼を一緒に食べる事になった。今日はサオリ以外の友達も、みんな都合がつかなかったんだとか。陽キャってすごいな。色んなメンバーと食事するのか。
「そんな事は、ないってば」
「いや、あるでしょ。わたしの事、覚えてなかったじゃん!」
「ソンナコトナイヨ」
「などと被疑者は言っていますが―――――どう思います。解説のリナさん?」
「あれは、黒ですね。間違いありません。秘蔵のエロゲかけてもいい」
「えっ。エロゲやってんの? マジ?」
「全年齢版だから―――――大丈夫だ問題ない」
そう言いつつ、サムズアップするリナ。それは一般人には伝わらないぞ………。
「何それ? なんかのセリフ? リナちゃんって、面白い人なん? 怖い人かと思ってた」
「ソンナコトナイヨ」
「ウケるぅw あんたらお似合いじゃんw」
「だそうですが、被告虎杖は罪状を認めますか? 浮気しますか? 二股はいかがですか? 愛人でもいいですよ?」
「し―――― ませんっ」
「「つまんないっ」」
「つまって溜まるかっ。大体、サオリになって言えばいいんだよっ」
「ママァこの子、飼っていい?」
そう言いつつ、自分の事を指差すリナ。その提案は、男の子的にとても魅力的で、可愛いんだけれど。そうじゃないっ。
「道端で、犬か猫を拾って来た小学生かっ! 俺はっ!!」
「どっちがいいの? 犬か猫なら」
「えっ。んっ――――猫?」(が好きだったよね?)
「にゃお、にゃん、にゃん」「ニャ、ニャ、ニャ♯」「ミャーミャー」
猫の真似をしつつ、二人が戯け初めてしまった。目の前で繰り広げられている現状が受け入れられずにいた。そして、伊藤さんってこんなに面白い人だったのか。と。隣の席だった時に、ほとんど喋った事がなかったから知らなかった。
「もう、飯食ってるよ。全然進んでないし」
「「はーい」」
素直かっ! 本当に君らは自分の欲求が優先なんだなっ!
面白いやら呆れるやらで疲れたしまった。ので、黙々とサオリが持って来たお弁当を食べてしまう。っていうか、今、彼女は石井君と一緒に食べてんだよな。気にならないと言えば嘘になるが、石井君だしなぁ。
うん。この粗挽きウィンナー上手い。トマトもあんまり熟してない状態でチーズ乗っけてあるし。好みをよくわかってらっしゃる。アニメで見てからこの食べ方が好きになってしまった。一回、イタリア言ってみたいなぁ。ピッツアとか。パスタとか。
お金貯めて、旅行したいな。でも、許可がないとバイトさせてくれないし。どうしよ。
「はぁ」
「どうしたん?」
「いや、金欲しなぁ。って」
「それなら、バイトしたら?」
「いや、俺バイト出来ないんだよ」
「え〜。なんで?」
「実は――――――サオリの許可が必要なんです。そして、今お小遣い制なんです」
「「すでにママの尻に敷かれてるっっっw」」
「ママって、結婚すらしてないのに…………まだ」
「「まだっっっw」」
なんだか、もうすでに仲いいね。二人とも羨ましいよ。俺たちの話で楽しんでくれて嬉しいよ。うん。
「あ、でも俺がそんな話してた事は内緒で」
そんな事を言ったせいか、二人はついに我慢出来なくなって、大きな声で笑い出してしまった。いや、浮気の証拠隠滅するみたいな言い方だったしな。わかる。
そんな風に和やか? に話していると。サオリ達が帰って来た。今日は早く話が終わったらしい。がその事に気づかずにいると。
「随分楽しそうじゃない? 私の彼氏は? 今度は二人と浮気なのかな?」
「「ママおかえり!!」」
「えっ。なっ、なんの話っ!?」
つづく
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あとがき
女子高生が猫真似してたら、唆るぜこれは!!?
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