第69話 準備
幼馴染で、今は彼女であるサオリの秘密を知ってしまった俺。
いや、詩織さんから、聞いたのだから秘密ではないのかも知れないけれど。さっきから気になて仕方ない。
「ねぇ、ほんとにどうしたの? さっきから全然喋って無いけど」
「……ごめん、ホントごめん」
「もぉ、なんなのよ」
さっきからサオリのバックが気になって仕方ないんだ。だってしょうがないじゃないか。まさか『今、ゴム持ってるの?』なんて聞けない。自分の彼女のバックの中身が見たくてしょうがないだなんて、そんな変態的な事を感じてしまとは、思っても見なかった。
お互いに手は繋いだまま、歩いていて、会話もまばらになってしまってる。本当はもっとちゃんと喋りたいのに。なんだか、隣にいる彼女が幼馴染からもう既に大人になってしまった。そんな風にも感じる………。
「そういえばさ。今度の週末、アロマ買いに行こうぜ。前に話してただろ?」
「うん。もちろんいいけど。土日のどっち?」
「土曜の午後とか? 朝掃除してから、行く感じで」
「オッケー。あ! 今週はちゃんと制服を漬けおきしておきなさいよねっ」
「わかってるよ」
「ほんとうにぃ?」
そうサオリが言いながら、上目遣いで俺の事を覗き込んでくる。すると胸元が少し見えてしまって、谷間が見えてしまっている。私服姿でそんな事するのって反則だよ。ホント。
「あぁ、スマフォのアラームセットしておいた。それで多分思い出す」
「へぇ、考えたじゃない♪ 多分ってのは気になるケド」
「それで、満足じゃないならボイスしてくれよ。そうしたら話しながらやれるし」
「そう♪ それなら、行けない時はボイスするね♪ 他に誰もいないか確認してやるんだらっ」
「誰もって、誰かいる訳ないだろっ」
「前にリナちゃんいたじゃん」
そうだったな。でもあれは………と言いかけて止めた。口喧嘩で勝てる気はしないしな。
そして、リナの家まで送ったあと。サオリとハグとキスをしてその日は帰る事にした。どうやら、リナの両親はまだ帰って来てないらしい。二人とも働きすぎなんじゃないか。そう思う。それで、学校でも家でもボッチと言うのは辛いな。
リナも『私もハグしたいっ』って言ってたけれど、サオリに止められて二人で、ゆるゆりした所で、満足したのか、その時はお開きになったんだ。
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その後の帰り道
これから向かう事に決めた場所がある。ついに。ついにアレを買うんだ。もちろんアレとはゴムだ。
「ヤベェ、緊張してきた……」
今、自宅近くのドラックストアに来ている。以前、脇の匂いを抑えられる様になる商品を買いに来た店で、ここは夜遅くまでやってるからよく利用していた。
そもそも。ゴムってどこに売ってるんだろう。思い返すと、コンビニやスーパーのレジ近くに有ったようななかったような。そんな気がする。
せっかくだし、どんな物があるのか見たくなったと言うのもある。こう言う物をカップルで買いに行くなんて言うデートも有るんだろうけど。まだハードルが高い様に感じている。その時になったらキョドッてしまいそうだし。
ドラックストアを全体的に見回して、目的の場所を見つけた。色んなパッケージがあるけれど。CMとかポスターで見た事のある001があるので多分、ここだ。
「ど、どれがいいんだろ……わからん」
自分の大きさなんて分からないし。匂い? 素材? が違うとか書かれていてもさっぱりだ。それになんだ、この温もりを感じれるとか言う商品?? 何が違うの?
それにジェル。ジェルってあった方がいいのかな。初めての時は痛いって言うし。でもこんなの持ってたら誤解されそうだし………うん、やめておこう。ゴムだけでいいよな。これで、俺もゴム持ち?(隠し武器)だ。
よく分からなないので、とりあえず001を買って帰る事にした。そして唐突におでんと焼き鳥食べたくなったんで、コンビニに寄って帰った。
「これで、一応準備は大丈夫だよな」 一人でいるだけなのにドキドキして来た。
さっきから、ずっと彼女の事しか考えられない。サオリに会いたい。会って話したい。
ご飯とシャワーを済ませてから、ボイスしよう。そう思った。
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サオリに後で、話したいとメッセした後、身支度をする事にした。ただなんとなく綺麗な格好で会いたいと思ったんだ。なぜか、夜になって少し伸びてきてたヒゲも剃った。いつも朝やってるのに。なぜか、今やってしまった。
そして、彼女にボイスをした。
『もしもーし。いっくん。ちゃんとご飯食べた?』
「さっき、おでんと焼き鳥食べた」
『またぁ? 好きだねぇそれ』
「コンビニに商品の中だと安定だろ?」
『まぁ、そうだけどさ』
「そっちは何食べたんだ?」
『うん? 野菜炒めとサラダを適当に作った』
『え? 全然適当じゃなかったよっ。うちの台所初めてなのになんか手慣れてたし』
『いや、システムキッチンって大体同じじゃない? それに食材ちゃんと入ってたじゃない』
『同じじゃないよぉ。私、よくわかんないし。いつも買い食いしてた』
『それは、リナちゃんが料理しないだけでしょ。冷蔵庫に入ってるのに』
『そうかなぁ?』
『あ、でもジャガイモの芽が出てたからちゃんと取らないとダメだよ。あれ毒あるから』
『えっ? そうなの? 毒っ怖っ。ヤバっ』
『まぁ、芽を取ればいいんだけどね』
『じゃぁ、また作りに来てぇ』
『嫌よ。いっくんの所に行きたいんだから。本当は今日だって……あっ』
なんか、俺を意識しないで会話始まっちゃってたから、割り込む隙がなかったよ。でも、二人が楽しそうでよかった。ボッチの俺の心に染み渡ったよ。
その後もたわいない話をしてその日は、眠りにつく事にした。
さっき、彼女達と話せたから思ったよりも気分良く寝られそうだ。
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と思っていた時期が俺にもありました。いや、寝られねーよ。
覚悟完了してたとか、可愛いすぎんだろ俺の彼女。もう、抜いてしまいたい。でも抜きたくない。なんだこの感情はっ。モヤモヤするぅ。
つづく
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あとがき
まぁ、寝られませんよね。
発散させてしまえば、スッキリして快眠なんですけどw
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