第68話 知らなかったその②

 石井君の中学生時代の黒歴史がすでに知られてしまっている事を確信した俺。


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 頑張れ石井君。骨は拾ってやらない。


「それで結局どうするんだ? 今日、サオリはリナの家に泊まるのか?」


「そうだね。そうしようかなぁ」


「なるほど」


 どうやらいくつもりの様だ。彼氏になったからと言って、彼女を束縛する訳ににもいかないしな。仕方ない。ここは


「ちょっと、リナ話せるか?」


「ん? なに? いった君も泊まるん?」


「いかねーよ。いや、送るけどさ。泊まりはしないよ」


「泊まっても良いけど? まぁ、それで?」


「あんまりサオリに変な事教えんなよ。頼むから」


「変んな事って何かな? 言ってくれないと分からないなぁ?」


 なんで、こういう時だけ分からない振りをするんだ。まぁ、意図はわかる。また、からかっているんだろうな。


 そう思ったので、俺もちょっとからかってやろうと思って、リナの顎をクイッとしながら、囁いた。


「お願いを聞いてくれないかな? ね?」


「チョ! 何すんのっ!? 突然っ!?」


「いや、ちょっと、からかってやろうと思って」


「イヤっ、やりすぎっ、ヤバっ。鏡見た方がいいよっ」


 なんだ、その言い方………そんなに変んな顔してんのかよ。そう思ってサオリの方を見ると怒っていらっしゃった………壁ドンと顎クイってセットでしたよね? 確か。


「ちょっと!? 二人とも何やってんの!? アタシにもしなさいっ!!」


 それじゃ、サオリにもお願いしておこう。そう思って、サオリを壁ドンしつつ顎クイしてお願いした。


「サオリの心配だ。変な事を勉強して来てほしく無い。もし、どうしても気になるなら俺に聞いてよ………ね?」


「うん♡ わかった♡」


 そう言いつつ、ハグしてくるサオリ。なんか、怒ったらハグするのが定番になりつつある。いつからだっけ、あ、小学校の頃からだ。何も変わってないのか。


 そんなやりとりをいつまでも続けていたせいか、他の三人はもう分かれていたので、俺たちも帰る事にした。


「じゃ、私は先に帰ってるから。またねぇ」


「また後でな」「また後でね〜」


 サオリを家の送って着替えて準備している間、少し時間ありそうだったので自宅に荷物を置いてから、サオリの家に向かった。なんだかデートに連れ出しに行くみたいだな。ちょっと緊張してきた。


ピンポーン


「はーい」


「あ、お久しぶりです。詩織(シオリ)さん」


 チャイムをしたら出て来たのは、サオリのお母さんである詩織さんだった。久々に会った気がするけれど。やっぱり美人だなぁ。長い髪の毛を耳の上に搔き上げるちょっとした仕草に大人の色香を感じてしまう。それに胸がサオリよりもデカイ。


 今朝、お尻の方が好きって思ったけれど。やっぱ胸も。いや。どっちが良いだなんて選べないよ。そんな残酷な事は出来ない。


「あら、いらっしゃい。いっ君」


 そう、そして詩織さんも俺のことをいっ君って呼ぶんだ。それをサオリも真似ていたんだ。他にも色々真似をしていた気がする。最近は髪型をアップにしたからちょっと違う印象だけれど。髪の毛を下ろしたら姉妹に見えなくも………のか?


「なにか。失礼なこと考えてないかな? ん?」


 色々考えてた事をどうやら、感づかれたらしい。こういう所はちょっと苦手だ。


「サオリさん居ますか? 迎えに来ました」


「えぇ、聞いてるわよ。えーと。今は山本さんの所に行くんだっけ?」


「そうです。苗字変わってますからね。最近3人で良く遊んでるんです」


 詩織さんはウンウン。と頷いている。そんなちょっとした仕草でも揺れる胸が凄まじい。なんでこんなに大きいんだろう。


「そういえば、うちのサオリと付き合い始めたのよね?」


「ん……えぇそうです。サオリから聞きましたか?」


「いや、聞いてないんだけれど。あの娘、昨日から浮かれてるから……きっと、そうなんだろうな。って思っただけ」


「付き合い始めたばかりなので、暖かい目で見ていただけると助かります」


「それは良いけれど。ちゃんと避妊はしなさいよ? あなた達は、まだ高校生なんだから」


「まだ。シてませんよっ」


「そう? もうとっくにシてるのかと。良く泊まりに行ってたし」


「いや、なんでそう思っていて、今までなにも言わなかったんですか?」


「サオリには言ってたのよ? ゴムも渡してあったし」


 えぇ? うそでしょ。付き合う前からサオリってゴム持ってたのっ。それって普通なの? 俺買った事すらないんだけどっ。ついでに昨日、シたいって言って、断られた気がするんだけどっ。どういう事!? でも、なんかこの話聞いてすごく興奮してきた。


 今、サオリにあったら凄く挙動不審になりそう。ちょっと気持ちを落ち着けたい。


「あらま。照れちゃって♪ 本当にまだなのね♪」


「えぇ。そうです………まだですよ」


「それじゃ、ちゃんとしてね♪ 信用してるから♡」


 詩織さんが、からかってる。だから、必要ない時はあまり会いたく無いんだ。こんな風になっているの幼馴染に見られてなくない。そんな風に玄関で長話をしていたせいか、サオリがやってきた。


「お母さん何やってるのっ? いっくん困ってるじゃないっ」


 そう言いながら、詩織さんの手を掴んで家の奥に引っ張っていってくれた。助かった。別に襲われてないんだけど。助かった。でも、今、自分の彼女の顔をまともに見れる気がしないっ。しばらくするとサオリが戻って来たので二人で出かけることにしたんだが、全然顔を見れる状態じゃない。


「ねぇ、いっくんどうしたの? さっきから」


「あぁ、ゴメン。俺たちが付き合い始めた事を詩織さんに言われてさ」


「あ、うん。やっぱバレてたんだぁ」


「それで、サオリがその……前、から……いやなんでもない」


「は? ちゃんと言いなさいよ。気になるじゃないっ」


「ゴメン。でも今言うことじゃないんだ……いつか言うから」


「そう? それなら待ってるけど。変なことじゃないでしょうね?」


「それはどうだろう……」


 前から覚悟してきてたの? なんて……聞いてしまって、もし『そうだよ♡』なんて言われたら、自制が効く気がしないっ。と、とにかく今はダメだ。今は、これからリナの家まで送らないとならないんだ。


「まぁ、良いケド。隠し事はダメ、だよ?」


「あぁ、ちゃんと話すさ。いつか」


 そうか、俺たちはまだすれ違ってるのか。幼馴染から付き合いはじめてもまだ知らない事があるんだな。そう思った。


つづく

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あとがき


前から泊まりに来てた女の娘が、

実は前からOK状態だったんて聞いてしまったら

自制が行く男の子なんていないっ。

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