第63話 誰だっけ?その②
幼馴染 沙織(サオリ)視点
「いや、だって」
「だっても何もないでしょ。そんな顔をしてさ」
本当に素直じゃないなぁ。気になるなら気になるって言って、金城先輩達についてっちゃえばいいのに。折角、カッコいい見た目になったのに、そんな顔してたら勿体無いよ?
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主人公視点
「もう、追いかけてっちゃおうよ」
「そうだな。行こうぜ! なんか楽しそうだし」
「そう、それに別に一人だけで来て欲しいだなんて言ってなかったよ?」
「え? そうだっけ?」
「確かに言ってなかったな。まぁ、わざわざ言わなかっただけかもしれないが」
そう言いながら、石井君が頷いてる。
「そうそう。こういうのって叙述トリック? とかって言うんだっけ?」
「いや、それなんか使い方違うだろ。よく分かってないのに使うなよ」
なんか、サオリが場を和ませようと変な事を言い出した。しかも使い方が間違ってる気がする。そういうのってもっと、手の込んだものだろ。
「まぁ、それなら金城先輩に声かけるわ。でもそれだと男女比おかしくない? 具体的には石井君要らなくない?」
「それもそうね。連絡したら来てくれる娘いるかも? ちょっと連絡してみる」
「いや、お前ら酷いなっ。いらない子扱いかよっ」
「「だってお前(あなた)振られてるだろ(じゃない)」」
「そもそも、告白すらしてねーよ! 今は気をつけてんだよっ!! なんなんだお前らっ。仲良しかっ!」
そう言われたんで、お互いに向き合って微笑みあってしまった。うん。俺たちは仲良しだ。そして石井君はボッチだ。
「っと、いけない。金城先輩に連絡するわ。いや先にリナか?」
そう思いつつ、スマフォを取り出して通話ボタンを押しつつ校門へ向かった。サオリも連絡を始めてたので声をかける。
「それじゃ、校門もしくは駅前集合で!」
サオリは、手を上げて反応をしてくれたので、校門に向かった。
石井君はどうするんだろう? と思ってたが、こっちについてくる様だ。めげないな。
「で、どうすんだ?」
「ん? 何が?」
「何にも考えてねーのかよ。まぁ、そうか」
そうだ。俺たちは何も考えてない。サオリが誰か連れてくるかもしれないが、それはかもしれないだ………まぁ、なる様になれ、だ。
そうして、校門まで行った所で金城先輩とリナに追いつけた。
「あの! ちょっと! いいですかっ!?」
「ん? なんだお前、えーと。いた…、なんだっけ?」
「虎杖です。そのですね。始めて会った男女が二人だけで行くのはどうかなぁ。と思いまして。俺たちとも行きませんか?」
「は?? 男女比どう考えてもおかしいだろ。嫌だよ」
「いった君は、どういうつもりなのかな?」
「いった……君? どこからどうとった? いたどり? だから? てか仲いいのお前ら?」
「まぁ、それなりに」
「えー。それなりじゃないでしょ。さっきも一緒に写真撮ったじゃん」
そう言って、リナがスマフォからさっきとった壁ドン写真始めにツーショット写真を見せだした。そういや、まだ内容確認してないから、どれは消して欲しいと伝えられてなかった。なんてこった。
「………いい趣味だなぁ。虎杖、お前。なぁ、石井、お前コイツどう思う? 処す?」
「これは、ヤってしまっていいのではないかと。はい。自分も言いたい事があるぞ、コラっ!!」
「…………話せばわかるっ! 多分!」
「そうだな! 肉体言語って奴だなぁ! お話だもんなっ!」
そんな話をしてるとリナが割って入ってくれた。
「………やめてくんない? そういうの好きじゃないし。そんな事してんなら帰るよ」
「あぁ、ごめん。リナちゃん。でもコイツが……」
「そのリナちゃんってのもやめて! 山本って呼んで!」
「……山本さん。そのなんと言うか、コイツが…」
「はぁ? なに?」
なんか、リナが怒ってるの初めて見る気がする。こう美人が怒ると怖いって言うか、なんか迫力がある。
「………なんでもないです……ちょっと、虎杖いいか? 少しあっちで話さないか?」
「あ、はい」
少し離れた所へ行って、話を始める俺と金城先輩。
石井君は空気だ。うん。石井君だし。
「なぁ、あの娘、結構あんな感じなの? 俺んとこ、姉ちゃんが怖くてさ。あぁ言うの苦手なんだよね」
「いや、俺も初めて見ますけど………あ、でも入学して早々、やらかしてたみたいですよ?」
「あぁ、そう。それじゃあの娘はちょっとダメかも。姉ちゃんの事を思いだしちまった」
なんとなく、頷きあってしまった俺たち。なんか思ったより仲良くなれるかもしれないな、この先輩とは。あと、そうするとサオリもダメだったんじゃないか? なんて言うかオカンっぽいし。付き合い初めてからはツンデレデレ? って感じだけれど。
「それじゃ、他の娘紹介してくれね?」
いや、ほんとめげないな。この先輩。すげぇよ。俺ならもうこの時点で、帰ってふて寝してるよ。改めてみると、この先輩見た目は悪くない気がする。うん。どちらかと言うとカッコいいよな。なんで、彼女居ないんだろう。姉のせいで、年下にしか、欲情しない? とか?
「あぁ、それはサオリが誰か呼んでくれるみたいですけど。来るかは分かりませんよ?」
「まぁ、それでいいや。で? なんだっけ一緒にスタバ行くの? っていうか来て。このままだと一人で行く事になりそうだし」
そう俺と金城先輩がどこか通じ合った約束を交わした時、サオリがやってきてこう言った。
「クミちゃんが、来てくれるってさ♪ いっくんも知ってるでしょ?」
「クミちゃんって誰?」
つづく
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あとがき
誰だっけ?
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