高校デビューした幼馴染がマウントとってくるので、カッとなって告白したら断られました。～隣の席のギャルと仲良くしてたら。幼馴染が邪魔してくる件～

第61話 いいの？

　会議が終わったのか空き教室からゾロゾロと人が出て来た。その人たちはちょっと疲れた顔をしていたが、どこか開放感がある様な顔をしていた。そしてある上級生にサオリが声を掛けられた。

「あ、白井（サオリ）さん。ちょっと良いかな？　今回、協力したんだからさ。前の話考えてくれる？　少しの時間でもいいからさ？」

　そう声をかけて来たのは、耳にピアス穴が空いていて、どこか小洒落た感じのする上級生の男子生徒だった。

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「先輩………その話なんですけど。やっぱり無理です」

「そんな良いじゃん？　ただスタバでカフェろうぜってだけだし？」

「アタシ彼氏出来たんです。だからダメです。すみません」

「えっ。だってつい昨日の事じゃん………マジかよ………それで相手ってのは？　そっちの石井君？」

　そう言われたので、サオリが俺の所に寄って来たので喋る事にした。

よし、胸張って言うぞ！

「自分、虎杖っていいますっ。こっちの白井サオリの彼氏やってるんで”夜露死苦（ヨロシク）っ！」

「あぁ………俺は、金城(カナシロ)って言うんだけど。別にお前とヨロシクするつもりはないぞ？　なんかお前、目が血走ってて怖いし」

　だよねっ！　ヨロシクしてどうするっ。あんまセリフ考えてなかったっ！

でも、緊張してて、目力が入ってたせいか。先輩はちょっと引いてくれてる。そして、超緊張する。なんで先輩にメンチ切ってんだ俺。普段こんな事しないから、内心不安になる。

「てか、虎杖だっけ？　お前、肩周りの筋肉結構あるな。鍛えてんの？」

「はいっ。筋トレを少々嗜んでますっ」

「へぇ？　何目指してんの？　週何回やってんの？」

「毎日やってますけど、何も目指してませんっ」

「ふーん？　白井さん、こういうのが良いんだ？　俺も、筋肉付けた方がいい？」

「知りませんっ」

「えらい嫌われたなぁ……はぁ、高校生の時に後輩ちゃんと付き合うの夢だったのにな………高校最後の夏がもう来ちゃうってのに………俺のプールが海が…水着デートが」

　先輩、御愁傷様ですっ。あと、金城先輩、水着姿想像してたなっ。昨日までならともかく。今日からは許さんぞっ。思わず、サオリの腰を掴んで抱き寄せてしまった。コイツは俺の物だとアピールしたくなったんだ。

「あっ♡」

　片手で強く抱きしめつつ、先輩を睨みつける。俺。どうやら独占欲が強い方だったらしい。そして、隣のサオリの吐息が段々荒くなってきたのを感じた。

「いっくんダメだよぉ。こんな所で♡　後にしよ♡　後ならいいから♡」

　これ以上はまずい感じがしたので、思わず手放してしまった………他の奴に見せたいわけじゃないんだ。あぁ、早く帰りたいっ。もう終わりで良いよな。そう思っていると。

「まぁ、お前らがラブラブなのはわかったからさ。ごちそうさま。それじゃ、他の娘紹介してくれね？　出来ればフリーで可愛い娘っ」

　紹介とか言われても、俺知ないよ。そんな娘。と思って他の三人に視線を送る。石井君は……本人が彼女欲しいんだし。無いよな。

「先輩、それなら、私が行こうか？　スタバくらいなら良いよ？」

「お？　マジで？　君も可愛いじゃん。名前は？　俺、金城」

「それさっき聞いたし。山本里奈（リナ）だよ」

「おっけー。リナちゃんね。じゃ、早速行こうぜ。超楽しみにしてたんだから」

「は？　サオリちゃんとでしょ。適当な事言うなし」

「えぇ、いいじゃん。それくらい勘弁してよw」

「ごめん、もう別れたいかも」

「付き合ってないのにっ！w　君面白いねっ。あ、でも結構ショックかも？　慰めてくれない？」

「はいはい。頑張って」

　そんな会話をしながら二人は行ってしまった。あんまり上手く行く感じはしないけれど、金城先輩めげないなぁ……メンタルスゲェ。

　でも、なんか心が、ムズムズする。このままで良いのかって、そう思えてしまう。サオリと付き合う前にも感じてたが、リナの事も好きなってしまってたんだろうな………完全に浮気野郎だ。

「いっくん、いいの？」「虎杖、いいのか？」

　なんで、二人してそんな風に聞いてくるんだよっ。普通にいいだろ。良い筈だろ……本人が行くって言ったんだし。サオリだって浮気はダメだって言ってたじゃないか……なんでそんな事言うんだよ。二人して。

　そのまま、二人を見送ってたんだが、途中振り返って軽く手を振るリナの仕草が、小学校に時に会えなくなった日を思い出させる様な。そんな記憶を思い出せたんだ。

「というか、先輩がいいなら、俺でもいいだろっ。どういう事だよ」

「いや、お前はダメだ。本人も嫌がってたぞ」

「なぜぇ！？　俺の何が悪いんだっっ！！」

　そう言いつつ石井君は、膝を地面についてしまった。

割と誰でも良さそう。って考えてる所じゃないかな？　多分。知らんけど。

つづく

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あとがき

割とメンタル強い後輩スキーの金城先輩