第55話 その心は

「うぅ………こんなの、こんなのってないだろ」


 さっき、リビングで初めて出来た彼女との初体験? らしき物をしてしまった俺。いや、実際にされたのは愛撫と、キスだけだ。今はシャワーを浴びつつ、気持ち悪くなった部分を洗い流して居る。


 こんな事してるのって、中学生の時以来だ。あー。パンツどうしよう。洗濯物にそのまま放り込むのもなんだか、気が引けるから軽く風呂場で洗ってから、洗濯機に入れた。


 そして、改めて鏡を見て、思った『コイツ、今日彼女が出来た奴の顔してねーぞ』と。こんな顔でサオリの元に戻るのか? いいのかそれでと考え込んでしまって、鏡の前で固まって居ると。


「ちょっといっくん、大丈夫? いつまでシャワーしてるの………?」


「ごめん、大丈夫だよ」


「そう? それならいいけど。って、なんでアンタ裸のままなのよっ!!」


 あ、服着るの忘れてた。慌てて、服を着ようとするが、パンツが無い。。。

それにズボンも変えたい。どうしよう。


「はい。これ。部屋着持って来たから、これに着替えたら?」


「うん。ありがとう」


「もー。しっかりしなさいよね!」


 サオリが服を持って来てくれたのでイソイソと着替えて。改めて鏡を見た。やっぱりあんまり顔色が良い様には見えない。なんか。情けなくなってくる。

本当に俺が、サオリの彼氏でいいのかな。そんな思いすら湧いて来る。


「本当に、どうしたの?」


「いや、なんでもないよ」


「なんでも無いわけないでしょ。ほらリビング行くよ」


 そう声をかけられて、手を引っ張られた。

サオリの手が温かい。さっきは、この手が俺の。。。と思ったらちょっと元気になって来た。


「で、それで、どうしたの? なんか暗いよ?」


「いや、さっきさ。まぁ分かると思うけど………」


「うん。それで?」


「そのさ、出ちゃったんだよアレが」


「あれね。本当にあんな音するんだね?」


「いや、あんなのは初めてだが………」


「え? そうなの? だって、アンタが読んでた漫画じゃ………」


「あれはフィクションだから! 普段からあんな音しないよ。少なくとも独りでした時はした事ないっ」


「そ、そうなんだね? へぇ。それじゃあれは?」


「あれって?」


「その、なんd、、、もう言わせないでよっ#」


 いや、何を言ってんだか分からないよ。ちゃんと言ってくれ。

そう思って、サオリの顔を見たら、まるで中学生の時までの幼馴染みたいにモジモジしてたんだ。そう思ったら目の前の娘が、とても愛おしくなったので、ハグをした。


「ど、どうしたの?」


「いや、なんとなく………したくなった。好きだよ」


「アタシもこうやっていっくんとハグするの好き」


「いや、そっちじゃなくて、好きだよサオリ」


「うん。アタシも! お揃いだね♪」


「あぁ、そうだな」


 なんか、もうずっと離れたく無いな。お菓子と飲み物出してたけれど。食べるには離れる事になるし。もう動きたくないや。そんな事を考えながら。お互いにまったりとした時間を過ごしていたんだが


「で、さっきは、誰の事を一番に考えてたのかな?」


「さっき?」


「うん。さっき。アタシとリナちゃんどっち?」


「それは、サオリだよ………」


「ウソ。リナちゃんの声に反応してたじゃ無い。なんだっけ『入れて欲しいよぉ♡』だっけ?」


 そう、サオリが俺の耳元で囁いて来た。え、何二回戦? するのしちゃうの??

いや、一回戦すら終わってないんだけどっ!


「うん。したい」


「え、なに?」


「だから、サオリとしたい。入れたい!!」


「どうしようかなぁ」


「だ、だめなの………?」


 また、しょんぼりしてしまう。俺の弟。。。なんなの。期待させておいて。

なんか、元気がなくなってしまった。


「今日はダメ」


「なんで………?」


「何その顔ぉw もー。いっくんは可愛いなぁ。そんなにアタシとシたいの?」


 そんな、事を言いながら、サオリが自身の豊満な胸に俺の顔を潜らせてきた。

なにこれ、すごい柔らかいっ。あぁ、もうずっとこうしてたい。でも伝えなければ。


「あぁ、サオリとシたい。と言うかしたくない男なんて居ないよ。こんなに可愛くておっぱい大きくて、それにエロかったんだから。知らなかったよ」


「もー。それはいっくんだけだよ? 他の人なんて嫌だよ。アタシ」


「本当に? 年上のイケメンとかお金持ちとかでもエッチしない?」


「しないしない。っていうか、何言ってんの? どういうつもり?」


「いや、だってお前、年上が好きって、言ってたじゃないか………」


「まだ、それ引きずってるの? あれは、そんなんじゃないって」


「じゃー。どういう事なんだよ」


「教えてあげないっ」


 本当どういう事だよ。そう思って、この世の桃源郷から離れてサオリの顔を見ると意外な事にサオリは真剣な顔をしていた。ので俺も思わず居住まいを正した。そして俺の顔を見つめながらこう言ったんだ。


「今は目の前の男の子が、将来、素敵な男性になってアタシを貰ってくれないかな? って思ってるよ♡」


つづく

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あとがき


サオリちゃんからのプロポーズ!

うん、俺、頑張る!

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