第49話 プレゼント交換しよう

 散歩から家に戻った俺とサオリは、結局部屋に入るまで手を繋いだままだった。

少し汗ばんで来たのが気になるんだが、、、離そうとすると、サオリが強く握ってくるから離れてくれない。


 まるで、小学校の頃に戻ったかの様だなと感じつつ。そんなに大変なのに、俺がこの幼馴染にやってやれる事はないんだろうか。と考えても思いつかない自分が嫌になる。


 石井君に話を聞いてみたりとかしたらいいんだろうか。。。でも一人で陽キャと話すのは抵抗あるなぁ。連絡先も知らないし。


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 そんな事を考えながら勉強してたのがよくなかったんだろうか。午後の勉強は全然集中できなかった。


「もう、いった君全然集中してないじゃん! 進んでないよ!」


「ごめん」


 っていうか、勉強会始まってからのリナの印象が違いすぎる。。。

どういう事なんだ? と思って不思議そうな顔をしてると。


「早く勉強終えて遊びたいの! だからちゃんとして!! アニメ観たいし!!!」


「あ、そういう………」


「リナちゃんは先に、休んでていいよ。アタシがいっくんの事見てるし」


「そ、そう? それじゃそうするけど。早くみんなで遊びたいんだから」


「わかったよ」


「じゃ、部屋でアニメ観てるね♪ 終わったら声かけてね」


 と言って、部屋に行ってしまった。ってどこの部屋に!?

追いかけて確認したいが、隣から腕を掴まれてしまった。


「じゃ、続きやろうね? 苦手教科克服できれば、いっくんは結構良い点数取れるはずなんだからね♪」


 そう言って、にっこりと微笑んでくれるサオリママ。その笑顔にちょっと圧を感じるけれど。もっと褒めて欲しい。そうやれば出来るんだ。俺は。


 なんだかんだ勉強は進んでいき。今日のノルマは終わった。明日は今日の復習と予習をするんだとか………。せっかくの週末だし、どっか遊びに行こうぜ。と言いたいが今週遊びまくってた俺に発言権はない。ないんだ。。。


 晩御飯を3人で食べたあと、リナと今日みたアニメの話をしてから近所のスーパーに買い出しに行って、来週までの食べ物の買い込みとお菓子と飲み物を補充した。


 二人をサオリの家に送った時に、サオリの母親と久々に顔を合わせたが、なんとなく気まずい。サオリにはいつも助けられてる事と学校でも頑張ってる様だと言う事を伝えて、お暇する事にした。


 それと『サオリの誕生日会やる時はリナも一緒に来てね』との事だった。それで、誕プレを結局何にするのか決めてなかった事を思い出した。


 本人は、無くても良いとか言ってたが、リナだけ持って来てた場合、めちゃくちゃ気まずいし、去年の様にお菓子だけってのもありえないな。。。困った。


 相談する相手もいないし。どうしよう。こうなったらリナに相談するのもありか? 被らない様に出来るし。そうするかなぁ。


「ただいま」


 誰もいないけれど、自宅に着いたのでそう言って入っていく。

荷物を置いて、シャワーするかと風呂場に行ってから気づいた。

そう言えば、制服のジャケット洗ってなかった。結局手付かずだったので洗濯してから干したあと、シャワーしてから、リビングでアニメみつつ筋トレしてたら眠くなって来たので、寝ようと自室の部屋に戻ったんだが、、、そこはいつもと何かが違っていた。


 なんだ? どことなく良い匂いが………と思って匂いの元を辿ると、ベッドの横に瓶が置かれていた。どうやらアロマらしい。


 リナが使ってたのかな。こういう物をプレゼントするのもいいな。

でも、かぶっちゃいそうだから。余計相談しないとな。


 試しに使って寝てみようか。そう思って、寝間着に着替えてから布団に入ると布団もなんか良い匂いがする。リナの匂いだろうか………。


 今日は、いつもの部屋じゃないみたいだ。ホテル気分? とでも言うんだろうか、良い気持ちで寝られそうだな。と思って、ぐっすり眠る事が出来た。


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 次の日の朝、まだ動き出すには早い時間。


ピンポーン


 俺は思ったよりもぐっすり眠ってしまったのか、昨日は早く寝たと言うのに玄関のチャイムで起こされた。がまだ寝ていたい。サオリ達なら合鍵持ってるんだから、放っておいても家に入れる筈だ。今日は掃除もしないし。と思ってダラダラしていると。玄関の扉を開ける音がしたので、そのままにしておく事にした。


 今は、この気分をもうちょっと味わっていたい。


コンコン


「いっくん起きてる? 朝だよ」


「あぁ、起きてるよ」


「あれ? 起きてるんだ? 入っていい?」


「どうぞー」


 そう言って、サオリが入って来たが怪訝な顔をしている。部屋の匂いを確認しているようだ。そうして、俺の方まで来て体臭を確認し始めた。


「どうして」


「ん?」


「どうして、こんな事してるの?」


「良い匂いだろ?」


「そうだけど、これじゃ(アタシの楽しみが)………ん? これリナちゃんの匂いじゃない? どういう事??」


「なんか、昨日部屋使った時に置いてったみたい」


 特に隠す事でもないので、そう言いつつアロマの瓶を指し示す。

でも、サオリは不満顔のままだ。匂いが気に入らなかったんだろうか。


「この匂い嫌?」


「そうじゃないけど、なんか複雑」


「じゃ、気に入ったやつないか一緒に買いに行こうぜ。誕プレもそれにしようかと思ってたし」


「本人と一緒に行くのってどうなのよ?」


「気に入らない物を買っちまうよりはいいだろ?」


「まぁ、そうね。それより早く起きてリナちゃん待ってるよ」


 どうやら、サオリとの誕プレはこれでよかったようだ。

買い物デートみたいになってしまってるけれど。変なものをプレゼントしてから無駄遣いを指摘されるよりは良いよな。


つづく

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あとがき


好きな異性の匂いを決めれるのは、ご褒美になりますね♪

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