第47話 ゲームしよ?

「じゃ、私たちはどうする? チョコバーゲームでもしてる?」


そう言いながらチョコバーを折って細くした物を口に咥えながら、誘って来たリナ。

 チョコは食べたいけど! やるにしても今じゃないだろ!


-------------------------------------------------


 ソファーの手を付き前かがみになりながら、口にくわえたチョコバーを差し出してくるリナ。俺が戸惑って固まっていると。チョコが溶けて来たのか、チョコバーを食べてしまった。


「あっ」


「もー。待ってたのに」


「なんで、突然そんな事したんだよ」


「ゲームするのに理由って必要? それじゃ、いった君が勝ったら昨日サオリちゃんから聞いた話をするってのはどう?」


「条件付きかよ………」


「それじゃ自分で聞く? それとも私とゲームするのが嫌なの?」


 前かがみの姿勢のまま上目遣いで、リナは俺を誘って来る。合わせてお尻も振っていて、とても扇情的で艶めかしい。抗いたくなくなってくる。


「やればいいんだろやれば………」


「ふふ、最初からそうすればいいのに♪」


 そう言いながら、チョコバーをもう一本折って口に咥えて差し出してきた。

今度は、目を瞑っていて、もう、完全にキス顔だ………。

そういえばどこまでやればOKなんだ? 勝利条件を聞いてなかった。


「これどこまでやればいいんだ?」


「………………」


「おーい」


「………………」


 答えるつもりはないらしい。。。やるって言ったからにはやらないとな………。

意を決して、チョコバーを齧った。すると、チョコバーが口から溢れてしまった。

そのまま落ちそうになったチョコバーをリナがギリギリの所で手に取った。


「もう。最後までやってもいいのに♪」


 そんな事を言いながら、手に取ったチョコバーを俺の口に放り込んで来た。

されるがまま、チョコバーを食べる、俺。うん、美味しい。


「手が汚れたからちょっと洗ってくるね」


 そう言いながら席を離れてしまった………思った以上にドキドキする。

結果だけで言うとたんにチョコバーをシェアしただけなのに。

なんか良い匂いもしたしな。


 手持ち無沙汰になったので、スマフォでも触ろうかと思ったが、そういえばリナに渡したままだった。確かボストンバックの中に入れてた筈だけれど。本人が居ない時にバッグの中を漁るのは、ダメだな。着替えとかも入ってる筈だし。


 仕方ないので、リビングに置いてあった握力ボールを持って、グニグニさせて時間を潰す。雑念を払う様に念入りに潰す。


 そうこうして居ると、リナが戻って来たので問いかけた。


「それで、サオリの悩みってのはなんだったんだ?」


「なんか、クラス委員の方が、大変なんだって。議長が頼りにならないとか、他のクラス委員がどうとか」


「それだけ?」


「うん。それだけ。だけどそんな風に言っちゃダメだよ。本人は結構抱え込んでたみたいでさ、昨日は愚痴が止まらなかったんだから」


「そうか………気をつけるよ」


「それはそうと、他の娘の悩みも聞いてくれてもいいと思うなぁ♪」


「え? 誰の?」


 そう問いかけると見ると、ソファーの隣に座って居るリナは自分を指差して居る。

これは、自分も悩みを聞いて欲しいと言う事なんだろう。


「俺の目の前に居る娘は、一体何が悩みなのかな?」


「目の前の男の子がなかなか手を出してくれない事かな♡」


「俺たち付き合ってないんだし。手を出すとか出さないとか以前の話だろ………それに今は………」


 続きを言おうとすると、リナは唇に左手で人差指を立てつつ、右手を俺の手に重ねてきた。。。学校で手を繋いだ時とはまた違ってドキドキする。。。


 そのまま、お互いに見つめあってると、サオリから「ご飯出来たから準備して」と声をかけられたので、動き出す俺たち。正直あのままだったらヤバかったな………。


 昼ご飯を食べすぎるとまた眠くなるから、少し足りないくらいで、ゆっくり食べてそのあと、軽く休憩してから勉強を再開するよ。とリナが言うのでそれに従う事にした。俺とサオリだけで勉強している時は、効率とかあんまり考えないでやってたな。


 洗い物を済ませて軽く顔を洗ってからリビングに戻ると二人に声をかける。


「どうする? すぐ勉強再開する? それとも、外を軽く散歩する? 俺、今日まだ、外の光浴びてないから軽く浴びて来たいんだけど」


「んー。私は良いや。家で待ってるよ」


「アタシはちょっと行こうかな」


「じゃ、行こうぜ」


「準備するからちょっと待って」


 そう言って、サオリは洗面台の方に行った。化粧直しだろうか………近くを散歩するだけなのに。意識高いなぁ。


 そう思いつつ自室に戻ったが、なんとなく、ちゃんとした格好しないと行けない気がして襟付きのシャツとジーパンに着替えてしまった。髪の毛も見直して。と。

これでいいだろう。そう思ってサオリに声をかけに行く。


「こっちは準備出来たぞ。まだかかりそう?」


「うん。もうちょっと」


「そっか、それなら玄関の外で待ってるからな」


「わかった」


 なんとなくデートみたいな流れになってしまったな。。。どこまで行こう。

あまり遠くまで行くと気まずいし、近くの公園までにしようか。

外の光を浴びつつボーとして居ると、サオリが玄関から出て来た。


「待った?」


「いや、待ってないよ」


「言ってみたかっただけだよ」


 そう言って朗らかに笑ってるサオリを見て思ってしまった。俺には悩んでいる所を見せてくれないのかな。頼りないからなのかな。そう思うと少し胸がチクリとした。


つづく

----------------------------------------------------

あとがき


続きが気になると言う方は是非

フォロー、☆、♡をお願いいたします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る