第42話 カップルシート

 色々あって、、、本当に、色々な事があってやっとリナの家を出た俺たち。

俺が荷物を持ちながら、リナは腕を組んで来ている状態だ。

傍目には完全にカップルデートだ。俺だけなぜか制服のままだけど。


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 普段は制服で外出て居ても普通に感じるけれど。隣の娘だけ私服だと違和感あるなぁ。しかも腕組んでるし。周りの視線が気になる。


「ちょっと、離れない? なんか場違い感が………」


「え、いいじゃん。別に」


 まぁ、俺が気にしなければいいだけなんだけどな。俺が離れてて、ナンパされても困るし。。。って、俺はリナの彼氏じゃないっ!


 二人で駅に向かってる最中にスマフォに通知が来たので、確認すると。

サオリから連絡が来て居た。


>いち:リナの家に着いたから、準備出来たら出発する予定。もし何かあったら連絡して

サオリ:こっちは、遅くなりそう。

サオリ:今の写真送って


「ん? 写真? なんで?」


「どうしたの?」


「いや、なんか写真送ってほしいってさ」


「ふーん、浮気調査とか?」


「え? そういう?」


「知らんけどw とりあえず写真撮っちゃおうか」


 そう言いながら、リナはスマフォのカメラでツーショットを撮ろうとするが、腕を組んだままなので、顔が近い、近いよ。こんな写真送るのかよ!

画面を見るとちょっと引きつった顔をしてしまってる。。。あ、撮られた。


「これサオリちゃんに送っておくねー」


「え、マジで、俺の顔微妙じゃない?」


「マジマジ。ちょっと変な感じでもいいんじゃね。むしろその方が都合がいい?」


「そうかな………そうかも?」


「じゃ、送っちゃうねぇ」


 スマフォをパパっと操作して、、、送られてしまった。

良いのかな。。。なんか怖いけど。一応、俺からも連絡しておこう。


いち:写真、リナに無理やり撮られて送られてしまった。そっちで確認してもらえる?

サオリ:うん。見た、楽しそうだね?

いち;お前どこ見てんだよ。ちゃんと見ろよ。楽しい顔に見えるのか?

サオリ:見えないっ(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ 

いち:(ㆀ˘・з・˘)


 とりあえず、なんか変な顔文字で返しておいた。伝わるかは知らん。

スマフォの画面を見ながら、どことなく今の状況がおかしく感じてしまって、少しニヤついてしまった。


「いった君、楽しそうだね?」


「あ………あぁ、ちょっと楽しいかな」


「それじゃ、写真送った事、褒めてくれていいんだよ?」


「ありがとう。ありがとう」


「ありがとうは一回でしょ」


「あ・り・が・と・う」


「そうそう♪」


 そんな会話をしつつ、電車で移動する俺たち。

どうやって時間潰そうかなぁ。やっぱ本屋とか? それかカフェ?


「どこで時間潰そうか?」


「お家かネカフェ?」


「家に戻って、また駅に来るの面倒だし。ネカフェにしようか」


 そう話し合って、二人でネカフェに向かう。ネカフェ倶楽部の受付で料金表を見た所、どうやら会員になると、自動的に一番安いプランにしてくれる様だ。

どの程度居るかわからないしちょうど良いか。


「じゃ、会員になるので自動プランで、席は………」


「このカップルシートでお願いします♪」


「え? この個室みたいなやつ?」


「足伸ばせるし。楽そうでしょ?」


「まぁ、たしかに」


「じゃ、それでお願いしまーす♪」


 カップルでないと使えない。わけでもなさそうだ。一人でも使えるらしい。

カップルとは一体。。。店員さんから、鍵とレシートを渡されたので、二人で部屋に向かった。ここは、ドリンク無料以外にアイスクリームもある様で、気になるな。


「♪♪♪♪」


「楽しそうだな?」


「うん。楽しい。ネカフェ来た事なかったし。こんなに一杯漫画があるなんてアガるでしょ」


「俺もほとんど来てないな。一気読みしたい漫画がある時くらいで」


 そして、二人でカップルシートに入ったが………黒の革張りされたマットを実際に見るとこの空間って………なんか………


「ここ防音だってさ」


「あぁ、、、」


「大きい声出せるね」


「え、、、えぇっ?」


「おしゃべり出来るねって事だよ?」


 そ、そうだよな。おしゃべりするだけだよな。シャワーだってしてないし。

いや、なんでシャワーするんだよ。漫画読むんだけだよ俺たち。

いかん、いかん、考えるな。今は漫画を読むそれだけだ。

 

 でも、やっぱそういう目的で使う人もいるんだろうなぁ。一度はこういう所でそういう事をしたい気はする。。。


「に、荷物置いて………漫画取りに行こうぜ」


「う、うん」


 このままだと、気まずくなりそうだったので、外に出ようと誘った。

何もない状態で二人っきりだとまずい。絶対まずい。。。


 部屋から出たは良いが、漫画か何読もうかな。最近って何が面白いんだろう。


 『幽霊みえちゃう娘』は、話題になった時にWEBで読んだけど、その後追ってなくてアニメ観たら続き気になってたんだっけ、それにしようかな。


 あと、飲み物とアイスクリーム取って、と。よし、これで時間潰せるな。

部屋に戻ると同じタイミングでリナも戻って来てたので、声をかけた。


「そっちは何を持って来たんだ?」


「『見知らぬJKに同居された話』って漫画」


「なんだそれ?」


「漫画家を監禁した話と関係性があるっぽい? 続き?? とりあえずJK(女子高生)が可愛いから読んでみようかと。。。そっちは?」


「『幽霊みえちゃう娘』アニメの続きが気になってさ。あれオープニングソングが凄くよかったし。なんかまた見たくなって来た」


「あれね! 今度カラオケ行ったら歌ってみようか?」


「え? まじ? その時は制服でお願い!」


「おっけー」


 そんな会話をしながら、お互いに持って来た漫画を読みあって過ごした。

こういう静かに過ごす時間も楽しいな。


つづく

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あとがき


漫画好きな彼女がいたら一度はしてみたい、ネカフェデート。

飲み食い出来て、エロいことも出来る万能空間。


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