第27話 その笑顔ではない

「じゃぁさ。私がこれからも楽しい顔をしていられるように。側にいてね?」


「そういう事じゃないんだけどなぁ。。。分かってるんでしょ?」


そう言いつつ、少し安心した様な顔をしている。

そんな君との距離感が今は心地よかった。

そう、今の関係がとても幸せに感じたんだ。


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俺は、リナに対してただの友達以上の感情を

抱いてしまってると自覚してしまった。


午後の授業をつけつつ、考え事をしてしまう。


俺はサオリに対してキチンと思いを伝えられていない事がある。

それは、何故『あの時、告白しようと思ったか』と言う事だ。


結局、それが伝えられないまま

今の状態になってしまったが、あの告白の後

サオリが俺に対して、浮気だなんだ。と言うのがそもそもおかしいんだ。

俺たちは付き合ってないんだ。だから俺がなにをやってても浮気じゃない。


そう考えると、俺たちは、何かがすれ違って気がする。それも致命的に。

でも、それを伝えるなり。放っておいた結果、

喧嘩別れになる様な真似はしたくない。


どうしたら、良いんだろうなぁ。


「あぁ、やり直したい」(ボソッ)


「ん? なにが?」


思わず呟いてしまった。のをリナに問いかけられてしまう。

そしてとっさに嘘をついてしまう。


「えっと、匂い……とか」


「なんか、さっきと言ってる事違う気がするけど。。。それで?」


「放課後にでも確認お願いします。。。」


「おっけー」


そういや、サオリに確認してもらう。なんて言ってたような気もする。

ランチ後ミーティング? とか言う奴だろうか。

午後の授業に少し遅れて、サオリと石井君は教室に戻って来た。


なんか、休憩時間中も話している様で、委員会の仕事が忙しいんだろうか?

そんな事を思ってると、放課後にサオリが近づいて来た。


「いっくん。今日さ、一緒に帰れなくなった」


「あぁ、委員会の方でなんかあったの?」


「そうなんだよねぇ。。。ちょっと予定が押し始めてて。。。。」


「わかった。待ってた方がいいのかな?」


んー。と言って、サオリはリナの方を見て考え込んでしまった。


「今日は、オレが白井さんを送ってくから大丈夫。どのみち帰る時間一緒だし」


石井君がそう提案してきた。まぁ、タイミング的には一緒になるよな。


「それに折角、山本さんと仲良くなったみたいだし。虎杖君が送っていきなって」


なんで、石井君はそんな事言うんだろう?

不思議そうな顔をしていると、石井君が近くに寄って来て小声で話しかけて来た。


「山本さん、クラスで浮いてたからさ、仲良くしてほしいんだよ。クラス委員としてはさ」


そんな事を言って来た。確かにクラス委員としては気になる所なんだろう。


「わかった。それじゃよろしく。サオリも帰る時、連絡くれよ。必要あれば迎えにいくから。駅までとか」


「わかった。連絡するから、駅まで迎えに来て」


えぇ、確定なのかよ。。。いいけど。。。

あなたの隣の石井君も苦笑してますよ。


でも、そうすると一回、家に帰るのめんどくさいなぁ。

駅近くの本屋で、時間でも潰してるか? それともマンガ喫茶? 晩ご飯は?

ヒトカラは、、、待ち時間が分からないから、入りづらいし。

着信に気づかなかったらなんて言われるか、と考えるだけで怖い。

なんか考えるだけで面倒くさくなったぞ。


「じゃ、帰ろうかリナ」


「うん。それじゃ、サオリちゃん、石井君。また明日」


「「「また明日」」」


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リナと二人での帰り道。


俺たちは普段、どうやって暇を潰しているかの話をしていた。

サオリは、委員会が忙しいみたいだし。

今日みたいに、待たされるような事があるかもしれない。


と思って聞いたんだけれど。参考にはなりそうにはなかった。。。

アニメは良いとして、エロゲはタブレットPCでやってるみたいだし

あと動画サイトを見たり、SNSに日記アップしてるって事だった。

なんか15秒くらいの短い奴がいっぱい出てくるやつだ。


うん。参考にならない。エロゲと日記以外は俺と変わんないし。


「まぁ、カフェでネット動画さんみたり、勉強しておいたりが無難かぁ。バイトはするなって言われてるし」


「ん? なんで?」


「突然、一人暮らしになったから、家の事がちゃんと出来てないと。ダメだってさ。少なくともサオリの許可が必要だと。。。。」


「あー。ちゃんとやらないと汚部屋になる。みたいな?」


「そう、それ」


最初の一週間でなってました。。。えぇ。

ゴミの日って何? 美味しいの?

いつでも捨てられた方がよくない?


自宅に届いた手紙の整理もしておかないと。だし。

あと、家も使ってない部屋も換気とか一応掃除しないと湿気ってたりする。

一軒家に1人暮らしって、思ったより面倒臭い。


そんな話をしつつ、リナの家まで着いた。

そして気づいた。そういや、午後に匂い確認をしてもらってなかった。


「あ、そういや匂い確認してもらってなかった」


「ん? 確認してほしいの?」


「まぁ、一応?」


「じゃ、腕上げて。そうそのままそのまま。。。えいっ」


そう言って、俺に抱きついてきた。頭を胸に擦り付けて来る。

めちゃくちゃドキドキするんですけど! 余りの事に硬直してしまう。

そして、そのまま脇のあたりをクンクンして来た。


「んー。もうちょっと、、、うっ、、、」


そう言って、離れてしまった。。。おい、マジかよ。

リナは『ずっと側にいてくれる』んじゃなかったっけ?


「えーと、もうちょっとなんかした方がいい気がするね」


「帰りにドラッグストア寄ってみる。なんかあるかもしれないし、ありがとう」


「うん。頑張って」


リナは俺を笑顔で見送ってくれた。

でも、君にして欲しいのは、その笑顔ではないんだ。。。


つづく

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あとがき


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