第26話 君の顔

サオリと石井君は、連れ立って行ってしまった。

二人は同じ委員会で活動していたんだけれど

石井君の事は全然意識してなかった

ほんとうになんにも興味無かったんだな俺。


ちょっと寂しい。

そんな事を思ってると、リナが寄って来て

俺の手に手を当ててこう言った。


「私ならずっと側にいるよ?」

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サオリ達が去って行った事が、思ってた以上に寂しかったのか

その手を思わず、握り返してしまった。。。。


「あ、ごめん」


「ううん。良いよ」


リナの方も握り返してくれた。

そして、その感触がとても心地よかったんだ。


・・・クソ。ほんと何をやってるんだ。俺は。

これじゃ本当に浮気じゃないか。

もうサオリに対して正面から否定することができないぞ。

きっと顔に出てしまう。


そんな事が思い浮かんでしまって、自然と俯いてしまう。

そうすると、手が離されてしまった。


「「あ、、、」」


顔を上げて隣を見ると、リナの顔がどことなく不安そうだ。


「ご、ごめんね。困らせたいわけじゃないんだよ? ホントだよ?」


「俺こそ、ごめん。思った以上に手の感触が心地よかったから、、、自己嫌悪に陥ってた」


「何それ意味わかんない」


「ほんと何、言ってんだろうな………」


少しの間、二人に沈黙が訪れた。


「でも、気持ちよかったんだ? 私の手」


「そう、だな。。。それは間違いない」


「じゃぁさ、また手を繋ごうよ♪」


「え?」


「友達同士なら普通だよ。普通」


「……それは小学校くらいまでだろ……」


「小学校からの友達じゃん。私達」


それはちょっと違うだろ。。。そう思うが、否定する気も失せた。


「とりあえず、食べ切ろうぜ。カレーがまだ残ってるし」


「そだねー」


そんな事をいいつつ、残りのカレーを食べ終えた。

けれど、色々な想いが浮かび上がって来て、カレーの味を感じる余裕は無かった。


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昼食を食べ終えた俺たちは、教室に戻った。

途中、リナが不自然に近づいて来て、軽く手を当てて来る。

さっきの話のアピールしてるのかと思うが、

学校の廊下で手を繋ぐ気になんてならない。

でも、そんな距離感に妙にドキドキしてしまう自分がいる。


なんでだろう。。。今朝、サオリとハグした時は

ムラムラはちょっと、いや結構したけれど。

ドキドキはそんなにしてなかった。

何が違うんだ? やっぱり過ごした時間の差? それとも状況?


そんな思考を巡らせつつ

教室に着くと、女子生徒の一人がリナに声をかけてきた。


「あれー? 山本さんじゃん。それに虎杖君。こんちわ」


「なに? なんか用?」


「いや、別に? 珍しいな。って思って」


なんかいかにも、陽キャっぽい感じの女子だ。


「何が珍しいの?」


「えーと、楽しそうなところ、なんて言うか幸せ顔?」


「えっ? そんな顔してた?」


「うん、してたしてた」


そうかな。とか言いながらリナが自分の顔を触ってる。


「ま、ホントそれだけだから。気にしないで山本さんっ」


そう言うとその娘は、もともと話してたグループの娘との会話に戻っていった。

声を掛けはしたが、たいして興味があったわけじゃないようだ。


しかしリナはまだ顔を触ってる。そしてポケットからスマフォを取り出して

確認しようとし始めた。え、、、どんだけ確認するの。。。。


「………続きは席でやらないか、ここだと邪魔になるよ」


「あ、うん。。。」


そして席に戻ってからもリナは自分の顔を確認していた。

頬をムニムニしながら、何かを確認している。


「どうしたんだ? さっきから」


「いや、楽しそうな顔してるなんて、ここ最近言われた事なかったし……家でも」


俺としては、なにを言ってるんだかわからない。

君はいつも楽しそうだった。そんな顔ばかり見ている気がする。


「リナは、いつも楽しそうに見えたけど」


「本当に? 一昨日よりも前は? 先週は?」


「えっ。。。」(全く覚えてない)


「それ、全然覚えてない顔じゃん。ヒドイなぁ。いった君は」


そんな事を言いつつ、ちょっと寂しそうな、でもどこか嬉しそうな顔をしている。


「じゃぁさ。私がこれからも楽しい顔をしていられるように。側にいてね?」


「ああ、、、隣の席だしな」


小首を傾げつつそんな事を言われた姿が可愛らしくて

ついそんな、はぐらかした様な返答をしてしまった。


「そういう事じゃないんだけどなぁ。。。分かってるんでしょ?」


そう言いつつ、少し安心した様な顔をしている。

そんな君との距離感が今は心地よかった。

そう、今の関係がとても幸せに感じたんだ。


つづく

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あとがき


リナ登場から24話も使って、

物語内の時間が3日しか経ってないと言う事に気付き驚愕した作者。

しかし3日目は、もうちっとだけ続くんじゃ。


続きが気になると言う方は是非

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