第25話 嘘泣き

「じゃ、あーんして」


「ほら、さっさとしなって。欲しいんでしょ? 私のが」


そう言いながら、リナがカレーと肉が乗っかったスプーンを差し出してくれる。


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「いや、、、あの」


「私のカレーが食べれないっての?」


なんだこのパワハラギャル、、、しかし、それ以前の問題だ。


「そんなことはないが、、、、、、遠くない?」


なぜなら、俺達は今、向かい合ってる。

うちの学食のテーブルは大きめだから、かなり頑張らないと届かない。

そんなに頑張ってたら流石に目立ちすぎだ。


「じゃ、隣行く」


そう言って、席を立ってカレーと共に隣に座った。

隣の席に着いたあと、改めて俺にスプーンを差し出して来たんだが


「あのさ、、、」


「なによ。やっぱ私のカレーは食べれないの?」


「震えてるカレー食べたくないんだけど。。。。溢れるよ? 汚れつくし」


リナは顔を真っ赤にしてて、そしてスプーンが震えていた。

でも、、、、これはまずい。溢される気がしてならない。


カレーの汚れは、ほんと落ちないんだぞ。

前に洗濯機に入れて洗っただけだと落ちなくて、シミ抜きしろって

めっちゃ怒られたんだから!


「なんなのっ! 全くっ!!!!」


そう言ってスプーンを放りだしてしまった。

俺が悪いのかな。そうかな。。。。


「とりあえず。いただきます」


スプーンで口に放り込む様にカレーと肉を入れた。

うん。。。美味しい。

本当はこのスプーンについたカレーを舐めとりたいが、、、やめておこう。


「つまんない」


「面白くさせるために食べてるわけじゃないってば」


「つまんない、つまんない、つまんない」


どうしろって言うんだまったく。。。。


「別のもの、汚れないものだったらいいから。。。ね?」


「じゃ、チョコレートフォンデュ、それかチーズフォンデュ」


どっちも、垂れるじゃないか。。。ダメだろ。

そう思ったけれど、目の前のリナはもう機嫌を取り戻したようだ。

コイツ、ちょろいな。


「あーうん。学生服じゃない時でお願い」


「と言うことは次のデートだね♪」


「ん。。。友達同士で食事いくのは普通だろ。デートではない。。。気がする」


「私がデートだと思ったらデートなの」


「はいはい。それでいいよ……それじゃ昨日のサイゼは?」


「ダブルデート」


「使い方間違ってない?」


「じゃぁ、二股デート。私、二人目の彼女でいいよ?♡」


また何かに影響されたようなことを言ってる。。。

からかいやがって、、、そう思いつつ返答をする


「保留で、そもそも二股じゃない」


「あれぇ? 保留なんだぁ。そうなんだぁ。私キープちゃん? ひどいなぁ。シクシク(嘘泣き)」


なんで保留なんて言ってしまったんだろう。。。

。。。たしかにさっきのはまずかった。。。


「そんなつもりじゃ、、、」


(無かったのか、、、? どうなんだ?)


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戸惑っていると、後ろから声を掛けられた。


「ちょっとアンタ、何リナちゃん泣かしてんのよ」


それはサオリだった。


「別に泣かしてなんて、、、ていうかあれは、多分嘘泣きだ」


「は? 嘘泣きでも女の娘、泣かしてなに居直ってんの?」


えぇ。。。理不尽じゃないか。。。

嘘泣きでもダメなの?


「サオリちゃーん。いった君が虐めるよぉ〜」


「よしよし、いい子だねぇ。もう大丈夫だよ」


「うーん。サオリママ大好き」


そんなことを言いながら、サオリのおっぱいに顔を埋めてるリナ。

なにそれ超羨ましいんですけど!!!

変わって欲しい!!! いや、尊い?


そんなどうでも事を考えてしまってると

声を掛けて来る人物がいた。


「あの、白井さん。そろそろ委員会行かないと」


石井君だった。


「あ、そうね。どうする? 私たちは教室方面に行くけど途中まで送ってく? アイツ放っておいて」


サオリが、そんな事を言いながら、俺の方を見る。

まぁ、さっきのは俺が悪い。。。。。


「ううん。大丈夫。サオリママが助けてくれたから」


「本当に? なら良いけど。また虐められたら言ってね」


「はーい」


その優しさを俺にも分けてくれまいか。。。。サオリさんよ。。。。

年上お姉さんが良いと思ってたが、、、ママもいいなぁ。

クリークママみたいな。。。。


「じゃ、行こう。白井さん。時間食ったから、ちょっと急がないと」


「ええ。いきましょう」


そう言って、二人は連れ立って行ってしまった。

俺たちから離れる際に、石井君はまた手を振っていた。


そうか、二人は同じ委員会で活動してたのか。。。

サオリがやってたのは知ってたけど、石井君の事は全然意識してなかった

ほんとうになんにも興味無かったんだな俺。


そっか、、、ちょっと寂しい。


そんな事を思ってると、リナが寄って来て

俺の手に手を当ててこう言った。


「私ならずっと側にいるよ?」


つづく

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あとがき


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