第4話 別れ
ダリの平凡な生活が急に終わりを迎えることになった。
故郷のヴィスティンの王国が解体されることが本格的に決まったのだ。
王家は地下で、魔王を崇めていたらい。
その魔王信仰の疑いをかけられて10年前にダリの両親は、ロイルの神殿の審問会にかけられ、生涯神殿に奉仕というヴィクトル侯爵には不名誉な決行を頂き、ヴィクトル侯爵家は没落した。
しかし今回、魔王を拝んでいるという告発は嘘だったと証明された。
当時、王権の一派は過激派のゾム派とロイル神寄りのレム派に分かれており、
ロイルの神殿から、何処かで、魔王を祀っているという情報が、彼らのもとに届いた時に、ゾム派の一人がレム派の若き侯爵に、罪を全部擦り付けて、ロイルの神殿側に引き渡したのだ。
だが、今回、とんでもない精霊使いがこの城で暴れて、地下への秘密通路を発見し、地下祭壇の発見に至ったのだ。
王家は断絶され、処刑こそないが王家やそれに関わった貴族は、家名を名のれなくなったのである。
中には、刑を軽くしてもらおうと、率先的にヴィクトル侯爵の無実をベラベラと喋る者もいた。
ダリは、ヴィクトル侯爵の一人息子だったから、急ぎ捜索され、ヴィスティンに呼び戻されることになった。
「嫌よ!どうしてヴィスティンなんて行くの?ここで暮らせばいいじゃない!宿屋の主になって!あたしも手伝うわ!」
「エイミア、ごめん。僕もここに居たいけど、没落した家を再興させたいんだ」
「ダリの家って貴族なの?」
「親ロイル派の侯爵家だった聞いてるよ」
「じゃあ……じゃあ……あたしなんか、お嫁さんに出来ないね……
あたしなんか、貴族でもないしエリサやダール達みたいに王家の血が混じってるわけでもない」
「でも、谷長の孫だし、ロイル家の血だって少しだけど混じってるじゃないか」
「ううん!谷長の二の姫なんて、私には荷の大きすぎることだったの。
だから、ダリと結婚して宿屋をやりたかったの」
エイミアの本音だった。
代替わりしているとはいえ、谷長の奥方は、かつてヴィスティンの姫だった人だが、エイミアの父の母親は別の人だったのだ。
エイミアは従兄人の中で、1番血筋的に低かった。
それで姫と呼ばれることに抵抗があるのであろう。
「大丈夫。落ち着いたらきっと、迎えに来るから。レディになって待ってて欲しい」
ダリは、優しく言った。
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