第4話 薬草ってどれですか?
私はクレアの指示に従い、街の外に薬草を取りに行った。街と外を隔てる門を抜けるとそこには、広大な草原が広がっていた。
ところどころに人がおり、モンスターと戦っている。街の外は、最初のレベル上げの場所なだけあってモンスターの沸きが早かった。
そんなことは知らないルカは、とりあえず足下にある草を採取していた。通常、薬草などの素材アイテムを採取するときは、スキルを使用して光ったところを採取することで手に入る。しかし、彼女はそれを知らない。そのため、ひたすらに草をとっていた。
「…これは薬草?……」
どれが薬草なのか分からない。
でも、いろいろな種類の草をもって帰れば問題ないよね。
スキルを使用しない採取はただの雑草しか取れない。
そのため、どんなに頑張っても薬草は取れない。
こうして、彼女はひたすらに雑草を採取していった。
草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草、草。
別の種類の草がとれるまでひたすらに採取した。
もはや、採取というより草むしりである。
「…出ない………」
雑草以外の草を探すが全く取れない。普通の人は諦めるが彼女は違った。夢にまで見た薬作りのため全力で薬草を採取しようとしている。
見た目が違うのに手に取ると同じ雑草になる。もはや呪いのように感じていた。だが、彼女に運命の瞬間が訪れた。そう、たまたま採取ポイントから採取した。そのため、偶然薬草を採取することができた。
「……おおー!………薬草!………」
採取できたこの草は、明らかに今までとった雑草と違う。これはおそらく薬草だ。良かった薬草を採取できた!
でも採取できた薬草は1本である。引き続き採取の作業に戻った。もともとルカはこういう地味なことには慣れていた。今は1本でも薬草が取れたため、うきうきで草むしりを続けている。草をむしりすぎるあまりに、不自然に草原が禿げている。
なかなか出ないなぁ。運がないのかな?草の取り方を工夫してみようかな。普通に採取しては意味がない。まずは見た目が同じ草をいろいろな取り方で採取してみよう。
まずは、青の花が咲く草のみを採取しよう。もちろん、普通に採取すると雑草になった。なら茎を切って採取していたところを、葉だけを先に切ってから茎を切ることにしよう。
その後、ルカはたくさん採取した。考えられる方法はすべて試した。草の種類も変えて本当にいろいろ試した。
するとそれぞれ見た目の違う雑草は、別種類の草であることがわかった。なぜ分かったかというと、青い花のついた草には特殊な採取方法が存在した。
まず、9枚ある花びらから対角線上に花びらが存在する様に不要な花びらを1枚採取する。そして葉も同様にペアのない不要な葉を1枚切り、最後に茎を切って採取すると雑草ではない草が採取できた。
他の草にも同様に特徴な採取方法があり、7種類の草の採取に成功していた。
これだけあれば、薬草は採取できていると思う。
もし無かったら、考えるのはやめよう。
街に戻ろうとしたとき、すでに空は赤く染まっており急がないと夜になってしまう。ルカは走った。しかし、圧倒的にステータスが足りていない。本人は走っているつもりだが、他の人からは腕を振ってご機嫌に歩いているようにしか見えなかった。
「……着いた……疲れた………」
なんとか街にたどり着いた。休みたくなる体に鞭を打って、ギルドに向かう。すると入り口には辺りを見回しているクレアがいた。
あっ、彼女が私を見つけたようだ。急いで近づいてきた。
「ルカ、こんな時間まで何をしてたんだい。時間には気をつけるようにリアに注意されておったじゃろ。心配したぞ。」
「…んっ……ごめん………」
「無事なら良いよ。それで薬草は取れたかい?」
「……んっ?………」
「それはどっちなんだい?」
話すのが面倒だった私は、採取してきた草をポーチから取り出した。それにしても、このポーチどれだけ入るんだろうか。私が採取した草はかなりの量があったが、このポーチにすべて入ってしまった。
「……これ………」
そう言って草を渡そうとしたが、先にギルドに入ることになった。そのままリアのいるカウンターに行く。
「ルカさん、大丈夫でしたか!」
「このバカは、採取に夢中で時間に気が付かなかったようじゃよ。」
「そうでしたか。それでも無事でなによりです。」
「……んっ……心配かけた………」
「ルカ、採取したものをここに出しな。」
そう言われたので、私は採取したものを全種類1本ずつ出した。すると、それを見て2人は驚いた顔をしている。
もしかして薬草じゃなかった?
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