第180話
(ある程度、史実に従った作品らしいが……)
二人の英雄王を筆頭に主要人物は優秀な者が多く、火種となった娘の父親や辺境伯も譲歩可能な部分の読み間違いはあれど、一定の合理性を維持している。
物語の中にしか存在できない馬鹿とか、“ざまぁ” されるためだけに生まれてきたような阿呆がいないのは素晴らしい、などと頭の片隅で考えていたら射撃が止んで、相手方の舞台
「「「うぉおお―――ッ!!」」」
「くっ、我らが王を護れ! ここが命の捨てどころだ!!」
それに
黒髪緋眼の王に
他の演者らも同じく中央部分を避けるように立ち
「天然の地形を利用した見事な奇襲だな、惚れ惚れする」
「時間稼ぎの戯言に付き合う気はない、推して参る!!」
戦い慣れた強者の悪い癖というか、無意識下で内循環系のマナと筋肉の動きを一致させてくるため、芝居とは思えないほどに鋭い。
右足を引かせた半身となりつつ、切っ先を外側へ打ち払った直後、少しだけ体勢が崩れた機に乗じて反撃の突きを放つも、軽快な側方への体
間髪入れず、陽の構えから横
(おいッ、少しは手加減しろよ!!)
(“辺境の英雄” と刃を交わせるなんて貴重だし、活用させてもらうよ)
客席に聞こえない小声で苦情を伝えると、
短い呼気を挟んで連続的に繰り出される迅雷の
「なにこれ、闘技場の試合?」
「うん、中央の二人だけ浮いてるよね」
「ッ、大丈夫なのか」
「公演中の事故とか、
近場の席より漏れ聞こえた声に賛同しつつ、眼前で器用に模造剣を振るう相手は、
その
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