第149話
人知れず胃を痛める
今夜は女子修道院に泊まると言って、仕事中なのに幼馴染のメイドを拉致ろうとするリィナとフィアの一悶着が起きたり、寝床へ潜り込んだ人狼娘が
「これが蒸気機関、何と素晴らしい……」
「中々に革新的ですな、水の状態や気圧変化を
「…… でもよ、先生方。水車と違って地形に縛られないが、燃料の問題はあるぞ」
「ミニチュアでなく実用想定のサイズで組むなら、火力の大きさも考えないと」
某研究室より貸与された模型の稼働を見守り、かつて俺の家庭教師も勤めていた学者のラズロックと、友人である錬金術師が感嘆の吐息を漏らす
火の扱いに長けた二人の見立てによれば結構な熱量が必要になる他、蒸気漏れを防ぐ手立てや、反復運動するピストンロッドの強度、水平から回転へ動きを変換するクランク軸の摩耗対策など、幾つかの技術的課題もあるようだ。
「この外燃式動力とやらは何に使うんです、ご領主」
「
「その兼ね合いで、我々も御子息に招かれたんだな」
「
ひらひらと先日送った手紙を左右に振りつつ、多額の融資によって
それに応えて
「両
「俺も思いはしたが、蒸気機関を設置する空間とメンテナンス性も判断材料にして、
取り敢えず、初手から最終的な成果物である商船を目指すのではなく、ある程度の大きさに
様々な事柄を経験していく過程で生じるであろう、鍛冶師や船大工らの発案は
「坊ちゃ… いえ、
「ラズロック師も
「
「あぁ、最先端の動力技術に
金属素材の錬成なら協力できると息巻き、今は妹に地政学を教えている恩師の友人が二つ返事で同意すれば、頃合いと見た父のディアスは手元のベルを鳴らして、待機室に
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