第148話 ~とある領主夫妻の会話~
本館の応接室を兼用する居間から、愛娘と跡取り息子がいる前庭の光景を窓越しに眺めて、身なりは良くとも年齢的に少しだけ腹が出てきた壮年の貴族、ディアス・クライスト・ウェルゼリアが呟く。
「ジェオの奴… 伝書鳩の手紙にあった通り、王都から半日で
「えぇ、馬車の姿はありませんものね、徒歩なのでしょう」
例え、常識の通用しない規格外の息子であろうと、自身の腹を痛めて産んだ
素っ気ない返事をされた伴侶が鼻白むのに構わず、“英雄の
「よくある物語の中なら気にしない、のだがな」
現実世界に出て来られた場合、大半の
取り分け、世襲によって実力と関係なく地位を得た者達など、普段なら意識しない劣等感を刺激されて
父親である彼ですら、領内外の要望で魔物討伐へ
恐らく、自己利益を確保しつつも
「なるほど、道理で守銭奴呼ばわりされても気にならないわけだ」
「衆愚におもねて得る名声に価値はない、でしたっけ?」
“民衆の支持は税率を下げれば取り付けられるが、いざという時の
もっと言うなら、本来は思想信条の違う人々が集まり、
「うぐぅ、自分以外の口から聞くと、反感を抱かれそうな物言いに聞こえるぞ」
「多分、
愛息も “大衆的な発想は受容され
それに加えて意志決定の過程や、共感的な理解が効果の最大化より重要な時もあると
「妙に達観しているな、我が息子ながら」
「ふふっ、貴方も
将来的な発展に寄与するものなら、
ただ、独立都市イルファの自領編入と国家紙幣の発行に喰い込んでいる件もあり、利害が
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