第131話
聖マリア教会への訪問から少し
「予想を裏切らず、几帳面なのね。ありがたいけど」
「本当に助かる、代数学のノート!」
「…… まぁ、減るものでなし、好きにしてくれ」
「この借りは前と
その気があるのか無いのか、
彼女と肩を並べる姉のセリアはもとより、こちら側の右隣に陣取るオルグレンも日頃の
全学科で必修となっている
「数学って、あまり日々の暮らしで使わないのに学科の教授は偉そうだよな」
「何の役に立つか不明ながら… 人類が持つ “
「“至高の芸術に
やおら同意を求めてきた細マッチョの青年を皮切りにして、口々に眼前の獣人姉妹までもが数学を
人の生き
「
「おぉう、D = -4p^3 - 27q^2 だったか」
「そこから複素数も踏まえた
「うぅ、先史文明と一緒に数学も滅びてたら、苦労しなかったのにぃ」
机にへばりつき、へにょりと力なく猫耳を伏せたセリカが愚痴るも、石壁や都市の残骸など文字を刻めるものさえあれば、書き殴ることができた数式の現存率は高い。
あらゆる
(もとい、頭を悩ませている連中も多いが……)
代数学の領域では高度な部類であり、毎期の試験にも出てくる定番の問題は避けられないため、自身の復習も兼ねて
ただ、適切な理解を得ているのは猫虎人らしく、お
「… 分からねぇ、虚数解の
「うぐっ、オルグレンの同類という屈辱」
「以上で
「ん、何とか
そんな様子を数分ほど眺めてから、独自に履修している他の数学系科目を押さえようと、茶色い革製の学生鞄より別紙の束を抜き出した。
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