第108話
「…… っ、
「他の人達と同じく、ですね」
困り顔のフィアが溜息するも、薄ぼんやりと見えてくることは無きにしも
直接、昏睡者の内面を探って得た感触や、色々と聞き齧った情報を統合することで、幾つかの推測を組み上げていく。
「リィナ、ここ数日で調べてもらった範囲に衰弱死の事例は?」
「不思議なことに
「どの患者も脈略なく数日ごとに覚醒する。その活動可能な期間を養生に割り当てているし、生命の根源たるマナの外部供給でも起こせるからな」
実際に数回、錬金学の
「やけに殺意の浮薄な “呪い” だな、あくまでも目的はマナの収奪と見て問題ない。宿主の保有量が基準以下になれば、深く眠らせた仮死状態で回復を待つ仕様だろう」
「その物言いだと良心的に聞こえるけどさ、命を喰い物にされるのは心身の負荷が大きいし、生かさず殺さずって酷くない?」
自由奔放な
「ただ、生きているだけでは幸せになれません。
「あぁ、否定はしない、良質な糧を搾り取るための家畜扱いなど論外だ」
この事件に黒幕がいるなら、必要な量のマナを集めた時点で収奪の呪いは解かれる可能性も高いが、昏睡状態にある者達の失われた時間は戻ってこない。
「…… 労を惜しんで後手に
「ふふっ、理屈を
「冷徹に見えて義に厚いところ、私達は好きですよ」
分かっていると言わんばかりに半人造の少女が微笑み、司祭の娘まで好意の
なお、こういう時に
「はふぅ、なんか落ち着く… ッ、痛!?」
「毎度の
厚手の布に包まれたフィアの聖槍で小突かれて、彼女は両手で頭を抱えたまま離れていくも、その小芝居
「病室で騒ぐのは止めてもらいたい。あと “槍の乙女” 殿、手心は加えているのだろうが、我々のような癒し手が得物を
「うぐっ、面目ありません」
しゅんと
微妙に居座りずらい空気となっており、さらに時間を使わせるのも気が引けたので、御礼に高品質なマナ結晶体を二つ渡して次の調査場所へと繰り出した。
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