第99話
やや遅れて到着した約1600平米の広い空間には、専門課程から申請できる個人向けの “探索許可証” を取ろうと、
ざっと見渡せば
主従
「ご無沙汰しております、というには日が浅いですね、ジェオ殿」
「あぁ、確かに… そちらも認定試験を?」
「指定された区域に
どういった経緯で虎穴に飛び込む必要性が生じるか、事前に予測できない以上、この試験を
「今日は敬語じゃないんだな」
「主家の客人だった一昨日ならまだしも、学院の同輩に遠慮はしない」
屈託のない物言いに飼い主の令嬢が困り、曖昧な微笑を浮かべるのも
「噂に聞く
「どうだろうな、荒事を好む性分じゃないとは言っておこう」
互いに口端を吊り上げて数秒ほど見つめ合っていると、小さく溜息したエミリア嬢が会話を引き継ぎ、中途入学者への配慮で近場の
四年前、浸食領域の森で消息不明となった初等科生徒のうち唯一の生還者や、
「さて、私の “研究時間が惜しい” から
また濃いのが出てきたなと思いつつ、自己紹介すら省略して語り始めた精悍な若い魔法科の講師を眺めていると、綺麗な紫水晶が二つ
彼の背後に立つ筋骨隆々の老人、アルト・アンダルス教授が錬成した “近隣の霊魂" に強く作用する召喚具であり、従魔の形を与えられて呼ばれた存在は “使役者のみ” を狙って襲い掛かるらしい。
どちらかが深手になるような攻撃を受けた時、敗者の魔力を拡散させながら単独または
それらが伝えられてすぐ、いつも
「つまり、自ら
「えぇ、少し変則的ですけど、いつも通り討伐系の試験内容です」
「さっさと済ませてしまいましょう、エミリア様」
余裕ありげな主従の令嬢を見るに、そう難易度が高いことでもなさそうだと、高を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます