第69話
天然の良い香りが嗅覚を
半ば無理やりに職務の内容を変えたことや、呼び寄せた労働者らの
出掛けに薬効のある草花を根こそぎ頂いたので、帰ったら恨み節をぶつけられそうだと、
「うっぅ~、なんだか楽しそうですね」
「そうでもないさ、フィアは… つらそうだな」
片手で胸元を擦りつつ、心許ない足取りのまま歩いてきた司祭の娘を
さりげない
「まぁ、飲んでいけよ、二日酔いに効くはずだ」
「良いのですか、糖蜜の
「ん、天幕で寝ているリィナには内緒で頼む」
「あぁ、やっぱり、ジェオ君のところに……」
朝鳥の声で起きると幼馴染の姿が消えていたため、捜索中だったという彼女は溜息を吐いて、焚火を挟んだ対面へ座り込む。
やや
「…… むぅ、はしたないけど、あれぐらい積極的にいくべきなの?」
「おいおい、教会の聖職者と思えない言葉だな」
「ふふっ、地母神派は “産めよ増やせよ、大地に満ちろ” の立場なので、公的に問題はありませんし、私的にも貴方の専属司祭ですから」
澄まし顔で同輩らが
されども、恥じらい含みの可愛い仕草に惑わされることなく、平然と香草茶の煮だし具合を確かめ、愛用の木製マグに注いで手渡した。
「うぐっ、ありがとう御座います」
やや不満そうに受け取った司祭の娘は息を吹きかけ、マグのふちに唇を添えると、火傷しないよう慎重に熱い液体を啜る。
焚火の始末を済ませた俺も彼女に
「これ、かなりの薬草が混ざっているのに美味しいですね、ほっこりします」
「ここ一ヶ月で関連する知識を
派閥の教区長に手を
お陰で植物の
「私も参加しましたけど、あれは素晴らしい時間でした」
はふぅ… と吐息を零したフィアが悦に
それが想定外の
ともあれ、今
彼らに道中の感染地を任せて、こちらは当初の目的地まで進み、支援団の拠点を都市郊外の荒地に
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