第58話
以上が王立学院に通う貴族子弟を狙った誘拐未遂事件の
当時、探索道沿いの比較的安全な場所で交代制の見張りを立て、外套に包まれながら夜露など
師弟共々に姿を伏せたまま鉄火場へ介入したことから、素知らぬ振りで
兵卒らの中には自力で都市門へ辿り着いた公子も混ざっており、土埃や泥に
“根は悪い奴じゃないのかもな” と、雑貨屋の
ただ、行方知れずになった学院初等科の生徒七名に対して、魔物が
下手に動き
他四名のうち、喰い散らかされた遺体から身元を確認できたのが一名、残りはすべて魔物の胃袋に納められたか、今も森の何処かで
定例の実地修練で星拝の祭壇へ
(当然、子息を失った貴族達が怒り狂い、惨事の切っ掛けである誘拐犯の生き残りを血眼で探したものの、
狼藉者に捕らわれた生徒らを救うべく、俺が放った領域爆破の魔法で致命傷や深手を負い、取り残された襲撃者は全員が “
余さず綺麗に物証ごと溶解されているあたり、用意は周到だったと言えよう。
そんな状況で確たる証拠がないにも
公的支援の断絶から始まり、グラシア国教会に所属しない聖職者の一部追放、王権神授説を受け入れて従うことの強要等、数え切れない遺恨が生まれていたりする。
表面上は平静に見えても、水面下で激しく蹴り合っており、護民救済を根本理念とする地母神派の
過剰な寄附金を求めず、安上がりな同派の教会を自領では祖父の代から呼び込んでいるため、港湾都市ハザルの近隣は中央と比べて平和なものである。
それを良いことに郊外へ大掛かりな製紙工場など建設、ここ数年で自領は言うまでもなく王都を中心とした各地に麻紙を売り
(
通貨に使う金銀の量的制限が市場規模を
工業系の一部、具体的に言うと羊皮紙職人の
とりわけ困った事態が起きることもなく、巨樹の
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