第27話
「まったく、待てど暮らせど護衛の指名依頼が来ないと思ったら… これを作っていたのね、ダーリン」
「その呼び方は止めろ、何とかならないのか?」
旅路での誤解を避けるため、麻紙の書類を
「もはや
「ん、否定はしないけどさ、無駄に偉そうで尊大な性格だし、私が構ってあげないと “ぼっち” 確定だよ?」
ここ数日の経験により、
「ふふっ、釣れないように見えて、ジト目になってるのが可愛い♪」
「…… 貴族の子弟を
やや呆れ気味に呟いたクレアと目が合い、お互いに苦笑を浮かべていれば、視界の端で
「布教のため、聖典を量産するのにも使えそうですね。街に戻ったら、司祭様に見せる分を数枚ほど頂けませんか?」
「あぁ、うちの元庭師に用意させる。同一内容を複写するだけなら、華国の活版という技巧の導入も考えておこう」
「「「活版?」」」
恐らくは既知
“知識は共有されてこそ意味がある” と、魂の集う場所にて人生の一端を見せてくれた過去の
「ん~、文字ごとの木版(活版)を枠に
「その結果、昔からあった彫版に駆逐されて、短い期間で歴史の中に埋もれたわけだが、言語形態に差のある西方諸国だと話は違ってくる」
「
「つまり、あたし達には彫版よりも活版の方が適しているという事だな……」
「うん、地母神派の聖典を刷るだけなら、どっちも実質的に変わらないけど」
気安い態度で幼馴染に応じた侍祭が話を締め
最後まで語らせてもらえなくとも、自身の言わんとする事は理解されたようなので、余計な蛇足を付けることなく、俺は瞑目して口を
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※ 実はグーテンベルクの活版印刷より遥か昔、中国で活版印刷機が発明されていたんすよ、知ってる人少ないけど。ただ、アルファベット26文字に対して漢字は凄まじい数があるので、文字盤を組み合わせる手間や、用意すべき活版(一文字単位のハンコ)の数が多すぎて、まったく評価されず消えていったのです。
※ 少しでも面白いと思って頂けたら
表紙ページ( https://kakuyomu.jp/works/16816927860966363161 )
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