第26話
後日、その話は母と妹の応援もあって円滑に進んだものの、ヴァレス領の迷宮遺跡へ向かう準備が思うように進まない。
当初は父の膝元である港湾都市の行政局に
一通りの根
「流石に
「表面をナイフで薄く削って再利用できるにしても、割高だからね」
昼休憩の最中、差し入れた菓子店のタルトを
その
「ここ半月ほど忙しくて、屋敷に顔を出せてないんです。私の手掛けていた庭の花々、どうなってますか、坊ちゃん?」
「初夏の日差しを受けて、いい具合に干からびているぞ」
「うぐッ、さらりと
がっくりと
(言えない… もう新しい庭師を手配したから、実は大丈夫だとか)
お役
されども現状の扱いに納得がいかないのか、こちらの腕をひしっと
「話せ、聞くだけは聞いてやろう」
「人手を増やしましょう! 私が抜けても構わないくらいに!!」
そう勢い込まれたところで、各製紙工程の絶妙な
若干、腹黒い内心を悟らせないように
「考慮の結果、どうするかは別の話だけどな」
「…… 坊ちゃん、本音が漏れてますよ。段々と旦那様に似てきましたね」
微かな良心の
自身も足を運んだついでに作業の輪へ混じり、ひたすら大釜に放り込まれた麻を棍棒で叩きほぐして、紙の原材料となる植物繊維を柔らかくしていった。
この場で一緒に汗を流した皆の尽力もあり… 地場産の麻紙は納品先を通じて
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます